水滴が玉になって転がり始める温度(ライデンフロスト点)
ことわりクッキングが記事に書いている値の出どころです。値と条件を、参照した文献と一緒に並べています。
値
| 値 | 対象と条件 | 版 | 文献 |
|---|---|---|---|
| 200〜220°C | 金属の鍋に落とした水滴が、蒸気に乗って玉になり始める温度 静かに落とした水滴。材質と面の状態で動く。鍋全体で玉が転がり続けるのはこの上(鉄で約240°C) | rev 2 2026-11-08 | [1][2][3] |
| 236〜245°C | 炭素鋼(鉄のフライパン・中華鍋の鋼板)の面で、水滴が玉のまま転がり続ける温度(ライデンフロスト点) 研磨した面(粗さ Sa 0.1〜1.8µm)、水滴 30.6µL、大気圧。蒸発までの時間が最も長くなる温度 | rev 1 2026-11-08 | [4] |
| 240〜325°C | ステンレス鋼(SUS304)の面で、水滴が玉のまま転がり続ける温度(ライデンフロスト点) 研磨した面、蒸留水、大気圧。水滴 0.03〜6mL | rev 1 2026-11-08 | [5][6] |
| 171〜235°C | アルミの面で、水滴が玉のまま転がり続ける温度(ライデンフロスト点) 研磨した面、蒸留水、大気圧。蒸発までの時間が最も長くなる温度 | rev 1 2026-11-08 | [7][8][9] |
補足
200〜220°C(金属の鍋に落とした水滴が、蒸気に乗って玉になり始める温度)
- 幅
- これより下では水滴が鍋に触れて広がり、数秒で消える。ここから上で蒸発までの時間が急に延びる
- この値を採った理由
- 水滴が玉になって長くもち始める温度を書いた原文は3つ(Walker の約200°C、Kita ほかのステンレスで蒸発時間が最短になる約220°C、 ステンレス鍋の実測で部分的に玉になる 204°C)で、それを含む幅をとった。記事が載せていた「約190℃」はこの下の端よりわずかに低く、 出典は Wikipedia の脚注の無い文(約193°C)だった
- 文献ごとの値
- 同じ値として扱う表記
- 約200℃/約200
- 改訂
-
- rev 1: 190°C(2026-11-08 まで)— 台帳を作る前に記事が「約190℃」と載せていた値。出典は Wikipedia「Leidenfrost effect」の脚注の無い文(約193°C)で、原文で読めた測定は 200〜220°C だった
236〜245°C(炭素鋼(鉄のフライパン・中華鍋の鋼板)の面で、水滴が玉のまま転がり続ける温度(ライデンフロスト点))
- 幅
- 面が粗いほど高い(Sa 0.1µm で約236°C、1.8µm で約245°C)。油がなじんだ鍋そのものを測った値は無い
- この値を採った理由
- 炭素鋼の面を測った値で、原文で読めたのは Wakata ほかの3点(約236〜245°C)だけで、その幅をとった。 玉になり始めるのはこれより下(onset)で、ここは鍋全体で玉が長くもつ温度
- 同じ値として扱う表記
- 約240℃/約240
240〜325°C(ステンレス鋼(SUS304)の面で、水滴が玉のまま転がり続ける温度(ライデンフロスト点))
- 幅
- 面の粗さと水滴の大きさで動く。小さい水滴の粗い面で約240〜252°C、鏡面に近い面で 305°C、6mL の大きな水で 325°C
- この値を採った理由
- 読めた測定2件(Wakata ほかの約240〜252°C、Baumeister ほかの 305〜325°C)をすべて含む幅をとった。 ステンレスは水滴の下で面の温度が下がりやすく、アルミより高く出る(Baumeister ほか)
- 文献ごとの値
171〜235°C(アルミの面で、水滴が玉のまま転がり続ける温度(ライデンフロスト点))
- 幅
- 面がきれいなほど低い。研磨して拭いた面で 171°C、前の水滴の残りがあると 225°C、荒らした面で 250〜265°C
- この値を採った理由
- 研磨した面の測定3件(Bernardin & Mudawar の拭いた面 171°C・拭かない面 225°C、Wakata ほかの約200〜202°C、Baumeister ほかの 230〜235°C)を すべて含む幅をとった。熱が広がりやすいアルミは、鋼より低い温度で水滴が浮く
- 文献ごとの値
文献
- [1] Walker, J.「Boiling and the Leidenfrost Effect」Halliday, Resnick, Walker『Fundamentals of Physics』6th ed. 付録エッセイ, Wiley書籍・該当箇所 Fig. 3 と本文 p. 2・測り方 金属板(材質の記載なし)に蒸留水を注射器で落とし、熱電対で板の温度を測った。約200°C で玉になって1分以上もつ
- [2] Kita, Y., Kida, H., Ariyoshi, S., Hidaka, S., Kohno, M., Takata, Y.「Thermal hysteresis in wettability and the Leidenfrost phenomenon」Phys. Rev. Research 6(3): 033287, 2024論文・該当箇所 Fig. 3(a) と本文 Sec. III・測り方 研磨したステンレス、脱イオン水、アルゴン中。約220°C まで蒸発時間が縮み、220〜280°C で急に延びる(TL は約265°C)
- [3] Prudent Reviews「Leidenfrost Effect Temperature」ウェブ・該当箇所 測定の節・測り方 ステンレス多層の12インチ鍋3種を表面用の接触式温度計で測った。約400°F(204°C)で玉になるがすぐ消え、中心 430〜450°F(221〜232°C)で鍋全体を転がり続けた
- [4] Wakata, Y., Zhu, X., Chen, X., Lyu, S., Lohse, D., Chao, C., Sun, C.「How roughness and thermal properties of a solid substrate determine the Leidenfrost temperature: Experiments and a model」arXiv:2305.13767v1, 2023論文・該当箇所 Fig. 2c(p. 2)の CS(炭素鋼 1045)の3点・測り方 蒸発時間が最も長くなる面の初期温度。温度は面の 2mm 下で測った
- [5] Wakata, Y., Zhu, X., Chen, X., Lyu, S., Lohse, D., Chao, C., Sun, C.「How roughness and thermal properties of a solid substrate determine the Leidenfrost temperature: Experiments and a model」arXiv:2305.13767v1, 2023論文・該当箇所 Fig. 2c(p. 2)の SS(ステンレス 304)の3点・測り方 粗さ Sa 0.5〜2.5µm、水滴 30.6µL。蒸発時間が最も長くなる面の初期温度
- [6] Baumeister, K. J., Henry, R. E., Simon, F. F.「Role of the Surface in the Measurement of the Leidenfrost Temperature」NASA TM X-52866, 1970論文・該当箇所 Table II(p. 11)の Stainless steel の行・測り方 鏡面研磨(3〜4 rms µin)、蒸留水。0.032mL の水滴で 305°C、6mL で 325°C
- [7] Bernardin, J. D., Mudawar, I.「The Leidenfrost Point: Experimental Study and Assessment of Existing Models」J. Heat Transfer 121(4): 894–903, 1999論文・該当箇所 Table 4 の Water(wiped・unwiped)× Polished・測り方 研磨したアルミ、蒸留水。水滴ごとに面を拭くと 171°C、拭かないと 225°C
- [8] Wakata, Y., Zhu, X., Chen, X., Lyu, S., Lohse, D., Chao, C., Sun, C.「How roughness and thermal properties of a solid substrate determine the Leidenfrost temperature: Experiments and a model」arXiv:2305.13767v1, 2023論文・該当箇所 Fig. 2c(p. 2)の Al の2点・測り方 粗さ Sa 1.0〜1.6µm、水滴 30.6µL。蒸発時間が最も長くなる面の初期温度
- [9] Baumeister, K. J., Henry, R. E., Simon, F. F.「Role of the Surface in the Measurement of the Leidenfrost Temperature」NASA TM X-52866, 1970論文・該当箇所 Table II(p. 11)の Aluminum (3-4 rms) の行・測り方 研磨した面、蒸留水。0.032mL で 230°C、6mL で 235°C
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