「せっかくのお肉、温かいうちに食べたい!」
って思っていませんか?その気持ちよくわかります。だからこそ、多くの人は肉を最後に焼くことが多いように思います。サラダを作って、副菜を準備して、スープも仕上げて——最後にフライパンを出して、肉を焼く。
でも実は、この「最後に焼く」が、パリッとジューシーなソテーを遠ざけている最大の原因なのです。
最後に焼くと、なぜうまくいかないのか
最後に肉を焼くとき、あなたの頭の中では何が起きているでしょうか。
「他の料理はもう出来上がっている。早く焼いて、温かいうちに食卓に出さなければ」
この焦りが、パリッとした仕上がりを遠ざけてしまいます。
パリッとした皮を作るには、中火でじっくり10分ほど、肉を動かさずに焼く必要があります。しかし最後に焼くと、人は副菜が冷めていくのが気になって、ついフライパンを覗き込み、早く焼けないかと肉をひっくり返してしまう。あるいは火を強くして、時間を短縮しようとする。
結果、外は焦げているのに中は生焼け。あるいは、火は通っているけれど皮はふにゃふにゃになることが多いです。
でも、調理の順番を変えるだけで、お店のようなパリッとジューシーなソテーを食べることができるようになります。
パリパリジューシーに必要な3つのこと
皮パリ・中ジューシーのソテーに必要なのは、特別な道具でも食材でもありません。以下の3つだけです。
- 水分をしっかり取る
- 中火で10分ほど動かさない
- 余熱で仕上げる
1. 水分をしっかり取る
肉の表面に水分が残っていると、フライパンの上で「焼く」のではなく「蒸す」状態に近くなります。水分が蒸発しきるまで表面温度は100°Cを超えず、パリッとした焼き色に必要なメイラード反応が始まらないのです。
キッチンペーパーで表面の水分をしっかり拭き取ってください。「もう十分だろう」と思ってから、もう一度拭くくらいがちょうどいいです。鶏肉なら、塩をして30分ほど室温に置くと、浸透圧で余分な水分が表面に出てくるので、それを拭き取るのがベストです。室温におくことで、肉肉自が室温になり生焼けになりにくくもなります。
2. 中火で10分、動かさない
フライパンに肉を置いたら、触らない。ひっくり返さない。押さない。覗き込まない。
中火で10分ほど、ただ放置します。
「焦げるのでは?」と心配になるかもしれませんが、中火であれば焦げません。むしろ、強火で短時間焼く方が焦げやすいです。中火でゆっくり加熱することで、皮の水分が徐々に抜け、油で揚げるようにカリカリになっていきます。 ひっくり返すタイミングは、表面がカリカリになって、フライパンから肉が剥がれてきてからです。
3. 余熱で仕上げる
焼き上がったら、すぐに切ってはいけません。
肉をフライパンから取り出し、アルミホイルをふんわりかけて3〜5分休ませます。この間に、余熱で内部までゆっくり火が通り、肉汁が全体に行き渡ります。
休ませずに切ると、集中した肉汁が一気に流れ出し、パサパサになります。あの「切った瞬間に肉汁があふれる」状態は、実は肉汁を逃がしている状態。本当に上手に焼けた肉は、切っても肉汁がじわっと滲む程度で、噛んだときに口の中でジュワッと広がります。
発想の転換:肉は「最初に焼いて放置する」
ここまで読んで気づいたかもしれません。
水分を取って、中火で10分放置して、さらに5分休ませる。肉のソテーには「何もしない時間」がたっぷりあるのです。
だから、答えはシンプル。
肉を最初に焼くです。
フライパンに肉を置いたら、その10分間で副菜を作ったり、サラダを盛り付けれたり。洗い物をしてもいいですし、ソース作りの準備をするのもいいです。
肉をひっくり返してからも同じです。さらに数分間、あなたは自由です。裏面を焼いている間に、テーブルのセッティングでもしましょう。
さらに、肉を取り出して休ませている5分間。この間にフライパンの焦げ付き(フォン)を使ってソースを作ることもできます。白ワインを注いでヘラでこそげるだけ。この時間こそが、プロが「デグラッセ」と呼ぶ技法を実践する絶好のタイミングです。
すべてが仕上がったとき、肉は休ませ終わっています。温かいまま、皮はパリパリ、中はジューシー。しかも他の料理も出来たてです。 少し時間を置きすぎたと感じた場合は、再度皮皮だけ強火で焼くとさらにパリッとさせられます。
「忘れる」ことの大切さ
「焼き」において、何よりも大事なのは、「待つこと」 です。
そのためには、一時「忘れる」 のがとても効果的です。
パリッとした皮を作るのに必要なのは、特別な技術ではなく忍耐です。肉をフライパンに置いて、一度忘れること。他のことに集中すること。「そろそろいいかな」と思ってから、もう2分待つこと。
最後に焼くと、「早くしなきゃ」という焦りから、この忍耐が保てなくなります。最初に焼けば、他の作業に集中できるので、自然と待つことができます
調理の順番を変えるだけで、あなたのソテーは劇的に変わる!
今夜の夕食から、試してみてください。フライパンに肉を置いて、タイマーを10分にセットして、その後にサラダから作り始めましょう。