うま味の科学|第5の基本味と4つのうま味成分・多く含む食材の一覧

だしの一口、熟成したチーズ、完熟トマト、干し椎茸の戻し汁——これらに共通する「じんわり深い、後を引く味」がうま味です。甘味・塩味・酸味・苦味に続く第5の基本味で、いまや世界で「umami」として通用します。

うま味を料理で使いこなす第一歩は、「どんな成分があり、何に多く含まれるか」を押さえることです。本記事はそのうま味成分の見取り図を示します。掛け合わせて強める話はうま味の相乗効果、だしとして引く話はだしの科学で扱います。

うま味とは:甘味・塩味・酸味・苦味に続く第5の基本味

うま味は、1908年に化学者の池田菊苗が昆布のだしからグルタミン酸を発見し、「甘味・塩味・酸味・苦味のどれとも違う第5の味」として提唱したことに始まります。長く仮説とされてきましたが、2000年前後に舌のうま味受容体が確認され、独立した基本味として世界的に認められました。

うま味の正体は、いくつかの決まった成分です。塩味が塩、酸味が酸によるように、うま味も特定のうま味成分がもたらします。だから「何がうま味を持つか」を知れば、味づくりの設計ができます。

4つのうま味成分と、多く含む食材

うま味成分は、大きくアミノ酸系(グルタミン酸)と核酸系(イノシン酸・グアニル酸)に分かれ、これにコハク酸が加わります。

成分系統多く含む食材
グルタミン酸アミノ酸系昆布、トマト、チーズ(特にパルミジャーノ)、白菜、玉ねぎ、にんにく
イノシン酸核酸系かつお節、煮干し、肉類、魚
グアニル酸核酸系干し椎茸、乾燥ポルチーニなどの乾燥キノコ
コハク酸有機酸あさり・しじみなどの貝類、日本酒

含有量には食材ごとに大きな差があります。たとえばグルタミン酸は羅臼昆布で100gあたり2,290〜3,380mg、イノシン酸はかつお節で470〜700mg含まれます。だしに使う食材が「うま味の塊」と呼ばれるのは、この含有量の高さゆえです。

このうちアミノ酸系と核酸系を合わせると、うま味は跳ね上がります(相乗効果)。一方コハク酸は、他の成分と相乗せず、独自の軸でうま味に厚みを足します。詳しくはうま味の相乗効果で解説します。

グアニル酸は乾燥で急増する

同じ椎茸でも、生と乾燥ではうま味がまるで違います。グアニル酸は生の椎茸にはほとんど含まれず、乾燥の過程で急増するからです。だしを狙うなら、生椎茸より干し椎茸(を戻したもの)が断然有利です。

うま味をどう感じるか:受容体の基礎

うま味は、舌にあるうま味受容体という専用のセンサーで感じ取ります。うま味成分がこのセンサーに結合すると、脳に「うま味」の信号が送られます。

面白いのは、系統の違う成分が組み合わさると、このセンサーの反応が何倍にも強まることです(相乗効果)。その分子レベルの仕組み——イノシン酸がグルタミン酸を受容体につなぎ止める働き——はうま味の相乗効果で図解しています。

成分を「掛け合わせる」と跳ね上がる

うま味成分は、単独よりも組み合わせたときに真価を発揮します。アミノ酸系(グルタミン酸)と核酸系(イノシン酸・グアニル酸)を合わせると、うま味は単独の最大7〜8倍にもなります。昆布(グルタミン酸)×かつお(イノシン酸)の一番だしが、その代表例です。

まとめ:まず「何がうま味を持つか」を押さえる

  • うま味は第5の基本味。正体はグルタミン酸・イノシン酸・グアニル酸・コハク酸という決まった成分です
  • グルタミン酸は昆布・トマト・チーズ、イノシン酸はかつお・肉・魚、グアニル酸は乾燥キノコ、コハク酸は貝類に多く含まれます
  • アミノ酸系と核酸系を掛け合わせるとうま味は跳ね上がります。その仕組みはうま味の相乗効果

どの食材がどのうま味を持つかが頭に入ると、「今どの系統のうま味を足しているか」で料理の味づくりを設計できるようになります。