ビーフンは細くて丸い。フォーは平たい。太さの違いだと思われがちですが、そうではありません。
作り方が根本的に違います。 そして断面の形は、その結果として決まっています。
米麺は「押し出すか、蒸して切るか」で分かれる
| ビーフン | フォー | |
|---|---|---|
| 製法 | 押し出し | 薄く流して蒸し、切る |
| 工程 | 米を浸水 → 蒸す → 餅状の生地を細い穴から押し出す → 再度ゆで/蒸し → 乾燥 | 米の液を金属板に薄く流す → クレープ状に蒸す → 冷ます → 線状にカット → 乾燥 |
| 断面 | 丸い | 平たい |
| 見た目 | 素麺のよう。透明感 | きしめんのよう。幅広 |
★断面が丸いか平たいかは、狙って作り分けているのではなく、製法から自動的に決まります。 穴から押し出せば丸くなり、シートを切れば平たくなる。
断面の形が、料理を決めている
そして断面の形が、どの料理に向くかを決めます。
| ビーフン(丸) | フォー(平) | |
|---|---|---|
| 表面積 | 小さい | 大きい |
| スープの絡み | 絡みにくい | よく絡む |
| 向く料理 | 炒め物(焼きビーフン)・スープ | スープ麺(フォー・ボー) |
焼きビーフンが成立してフォーの炒め物が主流でないのは、断面の形の帰結として読めます。丸い麺は油の中でほぐれやすく、平たい麺は貼り付いて重なりやすい。
★ただしタイのパッタイは平たい米麺(センレク)を炒めるので、例外はあります。傾向として捉えてください。
主要な米麺
| 名前 | 地域 | 形 |
|---|---|---|
| ビーフン(米粉) | 台湾・中国南部 | 細く丸い |
| フォー | ベトナム | 平たい |
| センレク/センヤイ | タイ | 平たい。センヤイのほうが幅広 |
タイの「セン(เส้น=麺)」は太さで呼び分ける体系を持っています。センミー(細)→ センレク(中)→ センヤイ(太)。同じ製法の中で幅を変えているので、ビーフンとフォーの違いとは軸が別です。
麺料理の中での米麺の立ち位置:分類の軸そのものが違う
小麦の麺はすべてグルテンをどう扱うかで分かれます。
| 麺 | 分かれる軸 |
|---|---|
| うどん | コシの思想(グルテンをどう締めるか) |
| ラーメン | 加水率と縮れ(グルテンの網をどう作るか) |
| パスタ | 形(粉の力で押し切る) |
| そば | 粉(グルテンが無いので、つなぎで借りる) |
| 米麺 | 製法(そもそもグルテンの話をしていない) |
★そばは「グルテンが無いのでどう補うか」で悩んでいますが、米麺は悩んでいません。 米のデンプンが糊化と老化で自分を骨格に変えるので、つなぎが要らない。
だから分類の軸も、グルテンではなくどう成形するかになります。土俵の外にいる麺は、物差しも別ということです。
麺として固まる仕組み(糊化と老化)と、乾麺の戻し方は米麺の作り方にあります。
まとめ
- ビーフンとフォーの違いは太さではなく製法。押し出すか、薄く流して蒸してから切るか
- 断面が丸いか平たいかは製法の結果であって、狙って作り分けているのではありません
- そして断面の形が向く料理を決めます。丸いビーフンは炒め物に、平たいフォーはスープに
- タイの「セン」は同じ製法の中で太さを呼び分ける別の体系です
- 小麦の麺がグルテンで分かれるのに対し、米麺は製法で分かれます。土俵が違えば物差しも違います