卵白・卵黄が熱で固まる温度
ことわりクッキングが記事に書いている値の出どころです。値と条件を、参照した文献と一緒に並べています。
値
| 値 | 対象と条件 | 版 | 文献 |
|---|---|---|---|
| 57〜62°C | 鶏卵の卵白 卵白だけを試験管に入れ、その温度の湯で8分加熱したとき。57°Cで薄く白く濁り、59°Cでややゼリー状、62°Cでゼリー状になる | rev 1 2026-11-06 | [1] |
| 70°C | 鶏卵の卵黄 卵黄がその温度で8〜30分加熱されたとき。流れず、粘りのあるもち状(ねっとりした半熟)になる | rev 1 2026-11-06 | [2][3] |
| 80°C | 鶏卵の卵黄 卵黄の中心が80°Cになってから2分以上たったとき。粘りが抜けてほぐれる、固ゆで卵の黄身になる | rev 1 2026-11-06 | [4][3] |
| 65°C | 鶏卵の卵黄 卵黄だけを試験管に入れ、その温度の湯で8分加熱したとき。逆さにしても流れ落ちない糊(のり)の状態になる温度 | rev 1 2026-11-05 | [2] |
| 80°C | 鶏卵の卵白 卵白だけを試験管に入れ、その温度の湯で8分加熱したとき。かたく固まりきる温度 | rev 1 2026-11-05 | [5] |
補足
57〜62°C(鶏卵の卵白)
- 幅
- 55°Cでは透明な液状のまま。65°Cでもゼリーはゆれ、まわりに水のような透明な卵白が分かれる
- この値を採った理由
- 卵白は固まる温度の違うたんぱく質が混ざっていて、1点では固まり始めない。岡村が卵白だけを8分加熱した測定では、57°Cでまだ液状のまま薄く濁り、59°Cでややゼリー状、62°Cでゼリー状になる。 記事が約60/58〜62/61〜65°Cで割れていたのは、濁りを見るかゼリーを見るかで切る点が違ったため。鍋の前で目に見えるのはこの濁りからゼリーまでの幅なので、1点に切らず57〜62°Cを採った。 61〜65°Cは、卵白のたんぱく質の1つ(オボトランスフェリン)が固まる温度として記事が引いていた値で、卵白全体が目に見えて固まり始める温度とは別の量
70°C(鶏卵の卵黄)
- 幅
- 65°Cでは逆さにしても落ちない軟らかい糊(のり)の状態。75°Cで8分では弾力のあるゴム状の硬い半熟
- この値を採った理由
- 岡村の表3(卵黄だけ8分)は70°Cを「粘りのあるもち状。半熟」とし、日比の表1・図1(殻のまま30分)も70°Cで流動性が無くなり「粘稠(ねんちゅう)状のゲル」になるとする。 2つの測り方で同じ70°Cに同じ状態が出る。knowledge にあった「完全凝固約70°C」は、この「ねっとり固まって流れない」状態を「固まりきる」と書いたもので、ほぐれる固さ(yolk-set)とは別の状態
80°C(鶏卵の卵黄)
- 幅
- 75°Cなら25分以上保つと同じ状態になる。70°Cではもち状の半熟のまま
- この値を採った理由
- 岡村は卵黄の「完全凝固温度を決定するのはむずかしい」としたうえで、形作りやほぐす用途の全熟は、卵黄が75°Cで25分以上か80°Cで2分以上としている(p. 22 本文)。 日比も殻のまま30分で、80°Cを「いわゆる全熟卵の卵黄でほぐれやすい状態(粉質状)」、70°Cを粘稠なゲルと分けている。 料理で「黄身まで固まった」と言うのは、このほぐれる固ゆでの状態なので80°Cを採った。knowledge の約70°Cは原文と合わない
65°C(鶏卵の卵黄)
- 幅
- 63°Cで粘りが少し出るが、形はほとんど変わらない
- この値を採った理由
- 岡村は卵黄が「およそ63°C以上から加熱の影響を受けている」とするが、表3では63°Cは「やや粘稠(ねんちゅう)。ほとんど変化はない」。 65°Cで初めて試験管を逆さにしても出てこない。料理で「固まり始めた」と見えるのは65°Cなので、こちらを採った
- 文献ごとの値
-
- [2] 63°C(かき混ぜた卵黄5gを試験管に入れ、60〜90°Cの湯で8分加熱して状態を見た)
80°C(鶏卵の卵白)
- 幅
- 57°Cでわずかに固まり始め、65〜70°Cでは一部のたんぱく質が固まって、まわりに水のような透明な卵白が分かれる
文献
- [1] 岡村喜美「調理教材に関する基礎的研究並びにその取扱いについて(第1報)ゆで卵について」日本家庭科教育学会誌 1: 21–26, 1960論文・該当箇所 p. 21 本文 2-1)・第1表・測り方 かき混ぜた卵白5gを試験管に入れ、55〜90°Cの湯で8分加熱して状態を見た
- [2] 岡村喜美「調理教材に関する基礎的研究並びにその取扱いについて(第1報)ゆで卵について」日本家庭科教育学会誌 1: 21–26, 1960論文・該当箇所 p. 22 第3表・測り方 かき混ぜた卵黄5gを試験管に入れ、60〜90°Cの湯で8分加熱して状態を見た
- [3] 日比喜子「加熱卵黄の性状と組織」家政学雑誌 30(4): 307–311, 1979論文・該当箇所 p. 308 図1・表1・3-1)・測り方 殻付きの新鮮卵を40〜80°Cの湯に入れて30分加熱し、卵黄の状態・破断強度・卵黄係数を測った
- [4] 岡村喜美「調理教材に関する基礎的研究並びにその取扱いについて(第1報)ゆで卵について」日本家庭科教育学会誌 1: 21–26, 1960論文・該当箇所 p. 22 本文 II-2-3)・第3表・第4表・測り方 かき混ぜた卵黄5gを試験管に入れ、60〜90°Cの湯で8〜30分加熱して状態を見た
- [5] 岡村喜美「調理教材に関する基礎的研究並びにその取扱いについて(第1報)ゆで卵について」日本家庭科教育学会誌 1: 21–26, 1960論文・該当箇所 p. 21 本文・p. 22 第1表・測り方 かき混ぜた卵白5gを試験管に入れ、55〜90°Cの湯で8分加熱して状態を見た
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