有塩バターと無塩バターの違い|バターが多い料理ほど塩が増える、置き換えの計算

有塩バターと無塩バターの違い|バターが多い料理ほど塩が増える、置き換えの計算

この記事でわかること

有塩と無塩は何が違うか
塩だけ。市販の有塩は100gに塩1.4〜1.6g
お菓子に有塩バターを使っていいか
バターが多い配合ほど塩が上がる。食塩不使用で作る
無塩のレシピを有塩で作るとき
バターの重さ×表示の食塩相当量÷100 だけ塩を減らす
焦がしバターはどちらで作るか
食塩不使用。有塩は泡が多く色が見えにくい

レシピに「無塩バター」と書いてあるのに、冷蔵庫には有塩バターしかない。そのまま使うとどれだけしょっぱくなるのか、塩を何g減らせばいいのか。

この記事では、バターの有塩と無塩(食塩不使用)の違いとして、塩の量、その塩が料理に出る場面、置き換えるときの塩の計算を扱います。成分や温度での使い方、発酵バター・澄ましバターなどの種類は、バターの記事にあります。

違いは塩だけ。市販の有塩バターは100gに塩1.4〜1.6g

有塩と食塩不使用で変わるのは塩の量だけ

バター100gあたり有塩(成分表)有塩(市販3銘柄の表示)食塩不使用
食塩相当量(g)1.91.4〜1.60〜0.02
脂質(g)81.080.8〜81.583.0
原材料生乳・食塩生乳・食塩生乳

出典: 成分表は文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」で、食塩不使用は0g。

市販品は明治北海道バター(1.5g)、雪印北海道バター(1.4g)、パンにおいしいよつ葉バター(1.6g)の栄養成分表示(2026年10月確認)。食塩不使用は明治の表示で0.019g。

有塩バターは、バターを練る工程で約1.5%の食塩を加えて作ります。塩を加えるのは、風味を良くし、日持ちを長くするためです。それ以外の作り方は食塩不使用と同じで、脂と水の比率もほとんど変わりません。

食塩不使用バターは、昔は「無塩バター」と呼ばれていました。生乳にもともと微量の塩分があるので「無塩」とは表示できず、いまは包装に「食塩不使用」と書かれています。レシピの「無塩バター」は、この食塩不使用バターのことです。

計算には、成分表の1.9gではなく包装の表示を使う

成分表の1.9gは標準的な値です。いま店頭に並ぶ主な有塩バターの表示は1.4〜1.6gで、成分表より2割ほど低くなっています。

塩を計算するときは、手元の包装の「食塩相当量」を見ます。表示が手元に無いときは1.5gで計算すると、市販の3銘柄とのずれは0.1g以内に収まります。

有塩の発酵バターは成分表で1.3gと低く、市販品には表示が1.0g台のものもあるので、必ず表示を見ます。

塩が味に出るかは、料理に入れるバターの量で変わる

作るもの使うバター(g)有塩で上乗せされる塩(g)料理全体で見ると
パンに塗る100.15塩気そのものが味になる
ソテーの仕上げ200.3下味の塩に比べて小さい
パウンドケーキ(粉・バター・砂糖・卵を各100g)1001.5ひとつまみ(約1g)の塩が2.5gになる
ブール・ブラン(バターを溶かし込むソース)1001.5ソースの塩をほぼまかなう量
ブリオッシュ(粉250g・塩5g)1251.9粉に対する塩が2%から約2.8%に上がる
パイ生地(粉250g・塩5g)2003.0粉に対する塩が2%から3.2%に上がる

上乗せの塩は、包装の表示1.5g/100gで計算した値です。バターの量が多い料理ほど、上乗せされる塩も増えます。

塗る・仕上げに落とすくらいなら、有塩でも塩の加減はほぼ変わらない

パンに塗るバターは10gで、入る塩は0.15gです。この塩気はそのまま味になるので、塗るなら有塩が向きます。

焼いた肉や魚の仕上げに落とすバターも20g前後で、入る塩は0.3gです。下味の塩に比べて小さく、有塩と食塩不使用のどちらでも仕上がりはほとんど変わりません。

バターが多いお菓子とパンでは、塩の比率が目に見えて上がる

パウンドケーキのようにバターを100g使う生地では、有塩にすると塩が1.5g入ります。甘い生地の塩はひとつまみ(3本の指でつまんで約1g)が多く、そこに1.5gが足されると塩は2.5倍になります。

パン生地は、塩が粉の2%前後でグルテンの締まりと発酵の速さを整えています(発酵生地)。ブリオッシュを有塩バターで作ると粉に対する塩が約2.8%に上がり、塩気が強くなるうえに発酵が遅くなり、生地が締まります。

パイ生地は、粉の8割ほどの重さのバターを折り込みます(折り込み生地)。有塩にすると塩が3g上乗せされ、粉に対する塩は3%を超えてレシピの1.6倍になります。

焦がしバターと煮詰めるソースは、食塩不使用で作る

有塩バターは泡が多く、色の変わり目が見えにくい

有塩と食塩不使用のバターを同じ量ずつ焦がして比べた試験では、有塩のほうが溶けるときの泡が多く、底の色の変化が見えにくくなりました。色の変わり目を見逃すので、焦がしすぎやすくなります。

焦がしバター(ブール・ノワゼット)は食塩不使用で作り、塩は色づきを止めてから足します(ムニエル)。焦げ始める温度そのものは、有塩と食塩不使用で違うとする一次資料を確かめられませんでした。

煮詰めるソースは、有塩だと塩も濃くなる

ソースを煮詰めると水は飛びますが、塩は鍋に残ります。肉を焼いた鍋の焼き汁にバターを入れてから煮詰めると、有塩ならバターの塩も一緒に濃くなります。

ブール・ブランは、白ワインと酢を煮詰めた土台に冷たいバターを溶かし込むソースで、バターを入れたあとは煮詰めません(乳化ソースの温度帯)。

それでもバターを100g使うので、有塩なら塩が1.5g入り、ソースの塩はそれだけでほぼ埋まります。とろみを見てバターを足すたびに、塩も増えます。

どちらのソースも食塩不使用で作れば、塩を最後に味を見て足せます。

置き換えるときは、バターの重さから塩を計算する

バターに入っている塩は、次の式で出せます。

バターに入っている塩(g)= バターの重さ(g)× 包装の食塩相当量(g/100g)÷ 100

使うバター(g)入っている塩(g、表示1.5gの場合)小さじでの目安
500.751/8
1001.51/4
2003.01/2

小さじ1を精製塩6gとして換算した値です。粗塩は小さじ1が5g前後と軽いので、重さで量ります。

食塩不使用のレシピを有塩で作るとき

レシピの塩から、バターに入っている塩を引きます。

食塩不使用バター200g・塩4gのレシピを、表示1.5gの有塩バターで作るなら、バターから3gの塩が入ります。レシピの塩は4gから3gを引いて1gにします。

有塩のレシピを食塩不使用で作るとき

逆向きは、同じ量の塩を足します。有塩バター100gのレシピなら、食塩不使用100gに塩1.5gを加えます。

パンに塗る・じゃがいもにのせるなど、塩気をそのまま味わう使い方なら、食塩不使用を使って上から塩をふるほうが加減しやすくなります。

塩を全部抜いても多いときは、置き換えない

レシピの塩が、バターから入る塩より少ないことがあります。バター200g・塩ひとつまみ(約1g)のクッキーなら、有塩バターから3gの塩が入ります。

レシピの塩をゼロにしても、まだ2g多い計算です。塩を引ききれない配合は、計算では直せません。このときは有塩で作らず、食塩不使用を用意します。

作るものと日持ちで、どちらを買うか選ぶ

作るものごとに向くほう

作るもの選ぶバターなぜか
パンに塗る・じゃがバター・醤油バター有塩量が少なく、塩気がそのまま味になる
肉や魚の焼き仕上げ・炒め物どちらでも入る塩が下味より小さい
お菓子・パン生地・パイ生地食塩不使用レシピの塩の量は、バターに塩が無い前提
焦がしバター食塩不使用泡が少なく色の変わり目が見える
ブール・ブラン・煮詰めるソース食塩不使用塩を最後に味を見て足せる

1種類だけ常備するなら、料理に使うのが中心なら有塩、お菓子やパンも作るなら食塩不使用が使い回せます。食塩不使用なら、バターの重さから計算した塩を足せば、有塩のレシピにも回せるからです。

同じ有塩バターでも、フランス北西部のブルターニュでは菓子にも使います。塩バターキャラメルやクイニーアマンは、塩気を味として狙った菓子です。塩気を立てたいときは、有塩で作るのも1つの選び方です。

食塩不使用は小分けにして冷凍する

塩には日持ちを長くする働きがあり、食塩不使用バターは有塩より保存できる期間が短くなります。期限は包装の表示で確かめます。

お菓子を焼くときにしか使わない食塩不使用バターは、1回に使う量に切ってラップで包み、冷凍しておくと使い切れます。冷凍のしかたはバターの記事の保存の節にあります。

よくある失敗と対策

味が濃い・塩辛い部分的
なぜ
食塩不使用のレシピを有塩バターで作り、バターに入っていた塩(100gあたり1.5g前後)がレシピの塩に上乗せされました
どうする
焼き上がったものは戻りません。ソースなら食塩不使用のバターか生クリームを足して塩の比率を下げます
次から
有塩で作るときは、バターの重さ×包装の食塩相当量÷100 の塩をレシピから減らします