料理文化の違いは、何を使うかより分け方に出ます。同じ操作を、どこで線を引いて別の名前にしたか。そこにその文化が何を大事にしてきたかが表れます。
5つの体系
| 料理 | 記事数 | 入口 |
|---|---|---|
| フランス料理 | 15 | 焼き技法11語 + 火加減 + スキルマップ |
| 中華料理 | 6 | 油の三段階(熟油・明油・香味油)+ 火候 |
| イタリア料理 | 5 | ソッフリットとマンテカーレ |
| 日本料理 | 4 | 「地」の体系 + 遠火の強火 |
| 韓国料理 | 4 | ヤンニョム + 高火力 |
各体系は「特徴の比較」「火加減」「スキルマップ」の3点セットを共通で持ち、そのうえに固有の技法記事が乗ります。
文化ごとに、言語化した領域が違う
同じ料理という営みでも、どこを細かく分けたかが違います。
| 文化 | 細かく分けた領域 | 例 |
|---|---|---|
| フランス | 焼き | ソテー・ポワレ・リソレ・セジール…11語 |
| 日本 | 調味の比率 | 八方だし8:1:1・幽庵地1:1:1 |
| 中国 | 油の状態 | 熟油・明油・香味油 |
| 韓国 | 合わせ調味の役割 | ヤンニョム |
| イタリア | 土台と仕上げ | ソッフリット / マンテカーレ |
フランスは焼きに11の名前を持つのに、調味は比率で語りません。日本は逆に、焼きは「焼く」1語なのに調味には数字の名前を与えました。
どちらも伝えにくいほうに名前を付けたのだと考えられます。フランスは文書でレシピを渡す文化なので工程を名詞化し、日本は口伝と見取りだったので、目で見えない比率のほうを言語化した——という読みです。
この層の位置づけ
| 層 | 何を持つか | |
|---|---|---|
| 下 | 原材料 / 下準備 / 調理法 | 文化を問わない科学と操作 |
| 横 | 料理体系(この層) | 文化ごとの語彙と実装 |
| 上 | 料理 / レシピ | 具体的な料理 |
同じ現象を扱っていても、置き場所が違います。 メイラード反応は調理科学に、それをフランス語で何と呼ぶかはこの層にあります。
なお下処理の技法は文化横断で整理してあります。臭み取りは霜降り(和)・焯水(中)・ブランシール(仏)を並べる形になっており、この層ではなく下準備の側にあります。