マーガリンとショートニングの違い|水を含むかで、バターの代わりになる菓子が変わる

マーガリンとショートニングの違い|水を含むかで、バターの代わりになる菓子が変わる

この記事でわかること

マーガリンとショートニングの違い
水の量。マーガリンは約15%、ショートニングは0
マーガリンとファットスプレッドの違い
油脂80%以上がマーガリン。未満は水が約3割
バターの代わりにマーガリンを使える?
同じ重さで置き換えられる。変わるのは香り
ショートニングでバターを代用するには
重さの8割にして、水を2割足す。さくっと軽く焼ける

マーガリンとショートニングは、どちらも植物油を主体に固めて練った、バターの代わりの油脂です。マーガリンはバターの代わりとして、ショートニングはラードの代わりとして作られました。

レシピのバターをマーガリンやショートニングに替えたら、クッキーの焼き上がりや香りが変わった。そうした違いの出どころは、主に水の量です。

この記事では、油脂のうちマーガリン・ファットスプレッド・ショートニングについて、何でできているか、バターの代わりに使うと何が変わるか、置き換える量の計算を扱います。バターそのものの性質と使い方はバターの記事にあります。

違いは水の量。マーガリンは約15%、ショートニングは0

3つとも、植物油を主体に固めて練ったもの

マーガリンは、食用油脂に水を加えて乳化させ、多くは急に冷やしながら練って固めたものです。原料は大豆油・菜種油・パーム油などの植物油が中心で、牛乳の脂肪(乳脂肪)は使わないか、使っても主原料にしません。

固さは、常温で固い脂(パーム油や、水素を加えて固めた硬化油など)と液体の油を混ぜる比率で決めています。

マーガリンとファットスプレッドを分ける線は、油脂の割合80%です(日本農林規格)。80%以上がマーガリン、80%未満がファットスプレッドです。

家庭用の容器入りには、見た目が同じでもファットスプレッドの製品があります。包装の「名称」の欄で見分けます。

ショートニングは、水を加えずに油脂だけを練って固めたものです。規格で水分は0.5%以下、原材料は食用油脂に限られ、味も香りもほとんどありません。

100gに入っている脂と水を、バターと並べる

100gあたり有塩バターマーガリン(家庭用・有塩)ファットスプレッドショートニング(家庭用)
脂質(g)81.083.169.199.9
水分(g)16.214.730.20.1
食塩相当量(g)1.91.31.10
主な原料生乳(乳脂肪)植物油植物油植物油

出典: 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」。ファットスプレッドの水分は製品によって約5〜50%と幅がある(厚生労働省の手引書)。

100gあたりの脂と水(g)脂水その他有塩バター81.016.2マーガリン83.114.7ファットスプレッド69.130.2ショートニング99.9(水 0.1)出典: 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年。マーガリン・ショートニングは家庭用
マーガリンは脂と水の比率がバターとほぼ同じ。ファットスプレッドは水が倍近く、ショートニングには水が無い

焼き菓子でバターの代わりになるかどうかは、この水の量で分かれます。

ほかの油脂とは、固めて練った加工品であることが違う

油脂何でできているか料理での使い方
マーガリン・ファットスプレッド植物油を主体に、水と乳化させて固めたものバターの代わりに塗る・焼く
ショートニング植物油を主体に、水を加えず固めたもの焼き菓子・パンに練り込む
サラダ油などの植物油種子から搾って精製した液体の油炒める・揚げる・ドレッシング
オリーブオイル果実を搾った液体の油生でかける・加熱する
バター乳脂肪80%以上、水と乳成分を抱えた固形の脂香りを生かして焼く・焦がす・ソース
ラード・牛脂豚・牛の脂身から取った脂肉の香りとコクを足して炒める・揚げる

液体の油は、固形の脂の代わりにはなりません。生地に練り込む・塗るといった、固さが要る使い方でバターの代わりをするのがマーガリンとショートニングで、その中で水を含むかどうかが分かれ目です。

バターの代わりに使うと、香りと焼き色が先に落ちる

乳の香りが無いので、生地は軽い味になる

バターの香りは、乳脂肪と、わずかに含まれる乳のたんぱく質や乳糖から来ます。マーガリン類には香料で香りを補った製品もありますが、乳成分が少ないので、仕上がりはバターよりあっさりした味になります。

ショートニングは香りがほとんど無いので、素材の香りがそのまま出ます。バターの香りを食べる菓子(サブレ・フィナンシェ)では、香りの差がそのまま味の差になります。

焦がしても、焦がしバターの香りにはならない

バターを焦がしたときのナッツのような香りと茶色は、乳のたんぱく質と乳糖が熱で色づいたものです(焦がすと香りが出る理由)。乳成分が少ないマーガリンや、乳成分の無いショートニングでは、この香りが出ません。

焼き菓子の焼き色も同じ理由で、ショートニングで焼くと淡くなります。焦がしバターやムニエルには、代わりになるものがありません。

香りを残したいときは、油脂の半分をバターにします。クッキーならバター半分・ショートニング半分で、バターの香りと、ショートニングの軽い食感の両方が取れます。

水の量で、生地の焼き上がりが変わる

ショートニングは水が無いので、さくっと軽く焼ける

脂だけのショートニングは、小麦粉の粒を包んで水を通しにくくします。生地の中でグルテンの網目ができにくくなり、焼き上がりはさくっと軽く、ほろっと崩れる食感になります。

同じ配合のクッキーを焼き比べると、バターのほうが広がって平たくなり、ショートニングは広がりにくく厚く焼けます。バターは体温前後(約28〜36℃)で溶けるので、オーブンに入れるとすぐ溶け、生地が流れやすくなります。

パイやクロワッサンは逆です。生地の層の間に挟んだバターの水が焼くときに蒸気になり、層を持ち上げます(折り込み生地)。水の無いショートニングだけでは浮きが弱いので、折り込みにはバターか、業務用の折り込み用マーガリンを使います。

マーガリンは、バターとほぼ同じに焼ける

マーガリンは油脂80%以上・水約15%で、バターの脂81%・水16%とほぼ同じです。生地の固さや膨らみ方は、バターで焼いたものとほとんど変わりません。

変わるのは香りと焼き色で、乳成分が少ない分、軽い味になります。

ファットスプレッドは、焼き菓子では生地がゆるむ

ファットスプレッドは水が約3割あり、バターの倍近くです。クッキーやパウンドケーキにバターの代わりに入れると、生地に水が多すぎてゆるみ、クッキーは広がりやすくなります。

ファットスプレッドは、パンに塗る・炒め物に使うなど、生地の水の量が問題にならない使い方に向いています。

冷蔵庫から出してすぐ塗れるかは、油の配合で変わる

バターは冷蔵庫では固く、室温ですぐやわらかくなる

バターの脂は牛乳の脂肪なので、配合を変えられません。冷蔵庫から出したては固くて塗りにくく、室温に置くとすぐにやわらかくなり、約28〜36℃で溶けます(脂肪の融点)。

固さを保てる温度の幅が狭いので、折り込み生地やバタークリームでは、作業する部屋の温度で仕上がりが左右されます。

マーガリンとショートニングは、油の配合で固さが変わる

マーガリン類は、液体の油を多くすれば冷蔵庫から出してすぐ塗れ、固い脂を多くすれば暑い場所でも形を保ちます。容器入りの家庭用マーガリンが冷たいまま塗れるのは、この配合によるものです。

ショートニングの固さも製品の配合で変わります。夏場のバタークリームやデコレーションでは、バターの一部をショートニングに替えて、室温でだれにくくする作り方があります。

バターから置き換えるときは、脂と水の量で計算する

マーガリンは同じ重さで置き換える

バター100gの代わりに、マーガリン100gを使います。脂と水の量がほぼ同じなので、ほかの材料は変えません。

塩だけは違います。有塩マーガリンは100gに食塩1.3g、有塩バターは1.9gです。食塩不使用のバターで書かれた菓子のレシピなら、食塩不使用のマーガリンを使います(有塩と無塩のバター)。

ショートニングは重さの8割にして、水を足す

ショートニングを同じ重さで使うと、脂はバターより約2割多く、水は約16%足りません。ケーキやパンのように生地の水の量を揃えたいときは、次の量にします。

置き換えるバター(g)ショートニング(g)足す水か牛乳(g)
50408
1008016
20016032

バターの脂81%・水16%(成分表)とショートニングの脂ほぼ100%から計算した値。有塩バターの代わりなら、包装の食塩相当量の分だけ塩を足す(表示1.5gならバター100gにつき1.5g)。

クッキーやスコーンで、さくっと軽く焼き上げたいときは、水を足さずに同じ重さのまま使います。脂が多く水が無い分、ほろっと崩れる側に仕上がります。

作る料理ごとに、向く油脂を選ぶ

作るもので選ぶ

作るもの選ぶ油脂なぜか
パンに塗るマーガリン・ファットスプレッド(香りを食べるならバター)冷蔵庫から出してすぐ塗れる
クッキー・スコーンをさくっとショートニング(香りも欲しければ半分バター)水が無く、グルテンができにくい
サブレ・フィナンシェバター香りと焼き色が味になる
パウンドケーキ・マフィンバターかマーガリンマーガリンは水と脂がバターとほぼ同じ比率
パイ・クロワッサンバター(業務用なら折り込み用マーガリン)層の間の水が蒸気になって層を浮かせる
夏場のバタークリームバターに一部ショートニングを混ぜる室温でだれにくい
焦がしバター・ムニエルバター乳成分が無いと香りが出ない
炒め物どれでも量が少なく、生地の水も関係しない

菓子も焼く家で1つだけ常備するなら、食塩不使用のマーガリンです。バターのレシピを同じ重さのまま置き換えられます。

買うときは、原材料と保存のしかたを見る

トランス脂肪酸は、原材料の表示で見る

トランス脂肪酸は、液体の油に水素を加えて固めるとき(硬化油を作るとき)に多くできます。国内の食品事業者は自主的に含有量を減らしてきており、同じマーガリンやショートニングでも製品ごとの差が大きくなっています。

気になるときは、原材料に「硬化油」や「部分水素添加油脂」があるか、メーカーの公表値で確かめます。

保存は、マーガリン類は冷蔵、ショートニングは冷暗所

マーガリンとファットスプレッドは水を含むので冷蔵で保存します。冷凍すると水と脂が分かれることがあるので、冷蔵のまま使い切ります。

ショートニングは水を含まないので傷みにくいものの、開封後は空気で酸化して風味が落ちます。ふたをして冷暗所に置き、表示の期限内に使い切ります。

よくある失敗と対策

水っぽい・ゆるい部分的
なぜ
ファットスプレッドは水が約3割で、バターの倍近い水が生地に入り、生地がゆるんで形を保てません
どうする
焼いたものは戻りません。次はバターか、名称が「マーガリン」の製品に替えます
次から
包装の名称欄を見て、焼き菓子には「マーガリン」(油脂80%以上)を使います
香りが弱い・飛んだ部分的
なぜ
香りと焼き色のもとになる乳のたんぱく質と乳糖が、マーガリンには少なく、ショートニングには無いためです
どうする
仕上げに溶かしバターを塗るか、次は油脂の半分をバターにします
次から
香りを食べる菓子(サブレ・フィナンシェ)はバターで作ります

参考文献

  1. 農林水産省「マーガリン類の日本農林規格」改正 新旧対照表——マーガリン(油脂含有率80%以上・乳脂肪40%未満・水分17.0%以下)とファットスプレッド(80%未満)の定義と品質基準
  2. 農林水産省「ショートニングの日本農林規格」改正 新旧対照表——ショートニングの定義(可塑性・乳化性等の加工性を付与した油脂)と水分0.5%以下・原材料は食用油脂に限る
  3. 厚生労働省「小規模なマーガリン類・ショートニング・精製ラード・食用精製加工油脂製造業者向け 衛生管理の手引書(案)」——マーガリンの水分約13〜16%、ファットスプレッド約5〜50%、ショートニングは油脂100%
ほか9件を見る
  1. 文部科学省 食品成分データベース(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年)——有塩バターの水分・脂質・食塩相当量
  2. 文部科学省 食品成分データベース——マーガリン(家庭用・有塩)の水分・脂質・食塩相当量
  3. 文部科学省 食品成分データベース——ファットスプレッドの水分・脂質・食塩相当量
  4. 文部科学省 食品成分データベース——ショートニング(家庭用)の水分・脂質
  5. 文部科学省 食品成分データベース——マーガリン(家庭用・無塩)の食塩相当量
  6. Wikipedia「Shortening」——名前の由来(焼いたものをもろくする)、固形の脂がグルテンのつながりを妨げること、Crisco がラードに似た植物性の脂として売り出されたこと
  7. Wikipedia「Margarine」——1869年にメージュ・ムーリエがバターの代用品として発明
  8. 農林水産省「トランス脂肪酸に関する取組」——硬化油の製造で生じること、日本の食品事業者による自主的な低減
  9. Handle the Heat「Butter vs Shortening」——同じ配合のクッキー・パイ生地・ビスケットをバターとショートニングで焼き比べた結果(広がり・食感・風味)