肉の脂が溶ける温度(融点)
ことわりクッキングが記事に書いている値の出どころです。値と条件を、参照した文献と一緒に並べています。
値
| 値 | 対象と条件 | 版 | 文献 |
|---|---|---|---|
| 40〜56°C | 牛の脂(和牛を除く)・牛脂(ヘット) 脂を溶かして取り出し、固めてから温めたとき、溶ける温度。部位と個体の違いを含めた幅 | rev 2 2026-11-07 | [1][2][3] |
| 26〜48°C | 豚の脂(部位を区別しないとき) 脂を溶かして取り出し、固めてから温めたとき、溶ける温度。部位と個体の違いを含めた幅 | rev 2 2026-11-07 | [4][5][6] |
| 26〜30°C | 豚の背脂(皮の下の脂。バラ・肩ロースの脂身もこれ) 脂を溶かして取り出し、固めてから温めたとき、溶ける温度。皮に近い外側の層ほど低い | rev 2 2026-11-07 | [7][8][9] |
| 37〜43°C | 豚の腎臓まわりの脂(リーフラード・ケンネ脂) 脂を溶かして取り出し、固めてから温めたとき、溶ける温度 | rev 2 2026-11-07 | [10][11][12] |
| 30〜40°C | 鶏の脂 脂が溶け始めてから溶けきるまで | rev 2 2026-11-07 | [13][14] |
| 44〜55°C | 羊の脂(ラム・マトン) 脂が溶け始めてから溶けきるまで | rev 1 2026-11-07 | [15][16] |
補足
40〜56°C(牛の脂(和牛を除く)・牛脂(ヘット))
- 幅
- 溶かして固めた牛脂を測ると、上昇融点で 41〜42°C、透明融点で 45°C 前後。 和牛の脂は例外的に低く、皮下脂肪は 10〜29°C(入江 2021 の図4)
- この値を採った理由
- 読めた文献の値をすべて含む幅をとった。下の端は入江の図4の 40°C、上の端は同じ図の 56°C。 今村ほかと板橋が測った牛脂(41.2〜44.5°C)もこの中に入る。どの文献でも下の端は体温(36〜37°C)より高い
- 文献ごとの値
- 改訂
-
- rev 1: 40〜50°C(2026-11-07 まで)— 台帳を作る前に記事が載せていた値。出典は日本食肉消費総合センターの用語集とされていたが、用語集に牛の脂の数値は無かった。読めた文献の上の端は 56°C だった
26〜48°C(豚の脂(部位を区別しないとき))
- 幅
- 部位で大きく分かれる。背脂は 26〜30°C、腎臓まわりの脂は 37〜43°C(この量の pork-back・pork-leaf)
- この値を採った理由
- 読めた文献の値をすべて含む幅をとった。下の端は背脂の外側の層の平均(大武の 25.6°C)、 上の端は入江 2021 の図4の 48°C。部位ごとの値は pork-back と pork-leaf に分けた
- 文献ごとの値
- 改訂
-
- rev 1: 30〜48°C(2026-11-07 まで)— 台帳を作る前に記事が載せていた値。出典は Wikipedia「Lard」で、原文で読めた背脂の測定は 26〜30°C だった
26〜30°C(豚の背脂(皮の下の脂。バラ・肩ロースの脂身もこれ))
- 幅
- 外側の層が 26〜28°C、内側の層が 30°C 前後。個体で ±3°C ほど動く(標準偏差 1.6〜3.3°C)。 透明融点で測ると上昇融点より数°C 高く出る
- この値を採った理由
- 読めた3件の値をすべて含む幅をとった。下の端は大武の外層 25.6°C、上の端は入江・西村の内層 29.9°C と 今村ほかの背脂ラード 29.80°C。どの測定でも体温(36〜37°C)より低い
- 文献ごとの値
- 改訂
-
- rev 1: 30〜40°C(2026-11-07 まで)— 台帳を作る前に記事が載せていた値。出典は Wikipedia「Lard」で、原文で読めた3件の測定はすべて 26〜30°C だった
37〜43°C(豚の腎臓まわりの脂(リーフラード・ケンネ脂))
- 幅
- 個体で ±3〜5°C 動く(標準偏差 3.0〜4.6°C)。透明融点で測ると上昇融点より数°C 高く出る
- この値を採った理由
- 読めた3件の値をすべて含む幅をとった。下の端は大武の腎臓脂肪 36.9°C、上の端は今村ほかの腹部のラード 42.83°C。 背脂より 10°C ほど高く、下の端が体温(36〜37°C)の上にある
- 文献ごとの値
- 改訂
-
- rev 1: 43〜48°C(2026-11-07 まで)— 台帳を作る前に記事が載せていた値。出典は Wikipedia「Lard」で、原文で読めた3件の測定は 37〜43°C だった
30〜40°C(鶏の脂)
- 幅
- 読めた文献は2件で、どちらも測り方を書いていない。用語集は溶け始める温度として 30〜32°C を挙げる
- この値を採った理由
- 読めた2件の値をすべて含む幅をとった。下の端はどちらも 30°C で、溶け始めは体温(36〜37°C)より低い。 上の端は入江の図4の 40°C。用語集の 30〜32°C は溶け始める温度として書かれていて、溶けきる温度ではない
- 文献ごとの値
- 改訂
-
- rev 1: 30〜32°C(2026-11-07 まで)— 台帳を作る前に記事が載せていた値。用語集では溶け始める温度で、溶けきるまでを含む入江の図4では 30〜40°C だった
44〜55°C(羊の脂(ラム・マトン))
文献
- [1] 入江正和「和牛肉における脂肪質と食味性」日本畜産学会報 92(1): 1–16, 2021論文・該当箇所 図4(p. 6)・測り方 総説の図(入江 2015 から引用)。牛脂の融点の幅を示す棒の両端を、目盛りから 1°C 単位で読んだ
- [2] 今村正男・新谷勛・飯島紘・岡田正和・松本太郎「食用固形脂の融点について(第1報)上昇融点とポリモルフィズムの関係」油化学 17(11): 610–616, 1968論文・該当箇所 Table-5(p. 616)・測り方 上昇融点(基準油脂分析試験法)。毛細管に詰めて 0°C で1時間、または 10°C で24時間置いてから測った
- [3] 板橋豊「脂質の分析 I」オレオサイエンス 23(12): 628–633, 2023論文・該当箇所 Table 2(p. 629)・測り方 牛脂の上昇融点(42.1°C)から透明融点(44.5°C)
- [4] 入江正和「和牛肉における脂肪質と食味性」日本畜産学会報 92(1): 1–16, 2021論文・該当箇所 図4(p. 6)・測り方 総説の図(入江 2015 から引用)。豚脂の融点の幅を示す棒の両端を、目盛りから 1°C 単位で読んだ
- [5] 大武由之「豚肉脂質および蓄積部位の異なる脂肪組織の脂質の性質上の差異」日本畜産学会報 54(3): 165–171, 1983論文・該当箇所 Table 1(p. 166)・測り方 市場の豚枝肉の背脂肪外層・内層・腎臓脂肪の融点の平均(各30点)。最も低い背脂肪外層から最も高い腎臓脂肪まで
- [6] 入江正和・西村和彦「豚の脂肪の性状に及ぼす残飯給与と屠殺月齢、蓄積部位の影響」日本畜産学会報 57(8): 642–648, 1986論文・該当箇所 Table 2(p. 644–645)・測り方 上昇融点。背脂肪外層・内層・腎臓周囲脂肪の平均(各36頭)。最も低い背脂肪外層から最も高い腎臓周囲脂肪まで
- [7] 大武由之「豚肉脂質および蓄積部位の異なる脂肪組織の脂質の性質上の差異」日本畜産学会報 54(3): 165–171, 1983論文・該当箇所 Table 1(p. 166)・測り方 市場の豚枝肉30点の背脂肪外層(25.6±2.8°C)と内層(29.8±3.3°C)の融点の平均
- [8] 入江正和・西村和彦「豚の脂肪の性状に及ぼす残飯給与と屠殺月齢、蓄積部位の影響」日本畜産学会報 57(8): 642–648, 1986論文・該当箇所 Table 2(p. 644–645)・測り方 上昇融点。背脂肪外層(27.9±1.6°C)と内層(29.9±1.8°C)の平均(各36頭)
- [9] 今村正男・新谷勛・飯島紘・岡田正和・松本太郎「食用固形脂の融点について(第1報)上昇融点とポリモルフィズムの関係」油化学 17(11): 610–616, 1968論文・該当箇所 Table-5(p. 616)・測り方 背脂から取ったラードの上昇融点。0°C で1時間、または 10°C で24時間置いてから測った
- [10] 大武由之「豚肉脂質および蓄積部位の異なる脂肪組織の脂質の性質上の差異」日本畜産学会報 54(3): 165–171, 1983論文・該当箇所 Table 1(p. 166)・測り方 市場の豚枝肉30点の腎臓脂肪の融点の平均(36.9±4.6°C)
- [11] 入江正和・西村和彦「豚の脂肪の性状に及ぼす残飯給与と屠殺月齢、蓄積部位の影響」日本畜産学会報 57(8): 642–648, 1986論文・該当箇所 Table 2(p. 644–645)・測り方 上昇融点。腎臓周囲脂肪の平均(38.4±3.0°C、36頭)
- [12] 今村正男・新谷勛・飯島紘・岡田正和・松本太郎「食用固形脂の融点について(第1報)上昇融点とポリモルフィズムの関係」油化学 17(11): 610–616, 1968論文・該当箇所 Table-5(p. 616)・測り方 腹部の脂から取ったラードの上昇融点。0°C で1時間、または 10°C で24時間置いてから測った
- [13] 入江正和「和牛肉における脂肪質と食味性」日本畜産学会報 92(1): 1–16, 2021論文・該当箇所 図4(p. 6)・測り方 総説の図(入江 2015 から引用)。鶏脂の融点の幅を示す棒の両端を、目盛りから 1°C 単位で読んだ
- [14] 日本食肉消費総合センター「用語集:融点(脂肪の融点)」公的資料・測り方 「食肉の脂肪が溶け始める温度」として鶏肉の値。測り方の記載なし
- [15] 日本食肉消費総合センター「用語集:融点(脂肪の融点)」公的資料・測り方 羊肉の脂肪の融点。測り方の記載なし
- [16] 入江正和「和牛肉における脂肪質と食味性」日本畜産学会報 92(1): 1–16, 2021論文・該当箇所 図4(p. 6)・測り方 総説の図(入江 2015 から引用)。羊脂の融点の幅を示す棒の両端を、目盛りから 1°C 単位で読んだ
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