塩麹の量と漬け時間|肉は食材の10%が目安、魚と野菜は量を変える

塩麹の量と漬け時間|肉は食材の10%が目安、魚と野菜は量を変える

この記事でわかること

塩麹は何g使うか
重さ×入れたい塩分÷塩麹の塩分。肉100gなら約9〜10g
10%で塩辛くなった
製品の塩分が高い。13%の製品なら約8%に減らす
何時間漬けるか
冷蔵で薄切り肉30分程度、厚切り肉2時間〜1日程度
野菜を浅漬けにしたい
10%では塩が薄い。20%前後に増やす

塩麹を「肉の重さの10%」で使ったら、前回よりしょっぱくなりました。厚切りの豚肉を30分漬けて焼いたら、中は味がしませんでした。きゅうりに同じ10%でもみ込んだら、浅漬けになりませんでした。

10%も30分も、どこかの条件で出た数字です。その条件が手元と違えば、量も時間も変わります。

この記事が扱うのは、麹調味料のうち塩麹を肉・魚・野菜に何gをどれだけの時間漬けるかです。

塩麹は塩を含むので、使った量が食材の塩分を左右します。塩を含まない甘酒との違い、なぜ柔らかくなるのか、焼き方は麹調味料の使い方まとめにあります。

塩麹の量は塩分から出し、時間は厚みで変える

塩分11%前後の塩麹を使うときの目安です。

食材食材に入れたい塩分(%)食材100gに使う塩麹(塩分11%の製品、g)冷蔵で漬ける時間(目安)
薄切り肉1前後9〜1030分
厚切り肉・鶏もも1枚1前後9〜102時間〜1日
魚の切り身1〜29〜1830分〜1日
野菜(浅漬け)2〜318〜2730分〜1時間

出典: 量は計算した値。肉・魚の時間は恵那市「エーナ健幸 発酵レシピ12」。入れたい塩分は肉・白身魚に塩を振るとき、野菜の塩もみの値。野菜の時間は塩もみの時間で、塩麹で漬けた野菜を測った資料は見つかりませんでした。

製品の塩分が違うときは、量を計算し直します。

量は「食材の重さ×入れたい塩分÷塩麹の塩分」で出す

10%は、塩分11%前後の製品で肉に1.1%の塩が入る数字

塩麹の定番の量は食材の重さの10%です。塩分11%の塩麹を10%使うと、食材に対する塩は約1.1%になります。肉に塩を振るときの量(0.5〜1.5%)の中に入ります(肉に塩を振るタイミングと科学)。

10%は、塩の量に直して初めて意味が分かる数字です。計算の形にするとこうなります。

塩麹の量(g)= 食材の重さ(g)× 入れたい塩分 ÷ 塩麹の塩分

製品の塩分が違えば、量を変える

市販の塩麹14製品を調べた研究では、食塩は多くが8〜13%、平均11.0%でした。同じ10%でも、製品によって食材に入る塩が0.8〜1.3%まで動きます。

塩麹の塩分(%)肉100gを塩分1%にする量(g)鶏もも300gなら(g)
812.538
1010.030
119.127
137.723

出典: 塩分の幅は前橋ほか(2015)の市販塩麹14製品。量は四捨五入した値。鶏もも300gを塩分1%にするなら、塩分11%の製品で 300×0.01÷0.11 で約27gです。

「10%で塩辛い」と感じたら、まず製品の塩分を見ます。13%の製品なら、10%ではなく約8%で足ります。

塩分は袋の食塩相当量から読む

袋の栄養成分表示に「食塩相当量」があります。100gあたりの表示なら、その数字がそのまま塩分(%)です。大さじ1あたりの表示なら、大さじ1を量りで量り、食塩相当量をその重さで割ります。

塩麹で漬けた食材には、あとから塩を足しません。足すと、計算した塩分がずれます。

計算が合っているかは、焼いた端を切って味を見れば確かめられます。塩辛ければ、次は量か時間を減らします。

漬け時間で進むのは、塩の浸透とうま味。柔らかさは進みにくい

豚ロースを重さの10%の塩麹に、冷蔵(4℃)で18時間漬けた試験では、次のように変わりました。

測ったもの漬けない肉と比べた変化変えたもの
遊離アミノ酸(うま味の材料)約2.4倍麹の酵素
グルタミン酸約2.8倍麹の酵素
焼いたときに出ていく汁(塩を含まない漬け床との差)約6%少ない塩
機械で測った硬さ(酵素を止めた塩麹との差)差なし―

出典: 阿部・秋田(2019)日本醸造協会誌 114(5)。汁の量は、70℃で1時間加熱したときの重さの減り方で比べた値。

塩は表面から入り、厚いほど時間がかかる

塩は肉の表面から中へ、時間をかけて広がります。塩を振った肉では、1〜4時間で深いところまで届き、8〜24時間でほぼ均一になります。

薄切り肉が30分程度で足りて、厚切り肉に2時間以上かかるのはこのためです。塩が広がる時間は、おおよそ厚さの2乗に比例して延びます。厚さが倍なら、中心に届くまで約4倍かかります。

うま味のアミノ酸は、冷蔵で一晩漬けると2倍以上になる

豚ロースを重さの10%の塩麹に、4℃で18時間漬けた試験があります。漬けた肉の遊離アミノ酸は漬けない肉の約2.4倍、うま味の中心のグルタミン酸は約2.8倍になりました。

塩麹そのものに入っているアミノ酸が全部肉に移ったと仮定しても、この増加量には届かないと、研究は計算しています。麹のタンパク質を切る酵素が、肉のタンパク質を分解した分です。うま味を足したいなら、冷蔵で一晩は意味があります。

柔らかさの差は、冷蔵では小さいことがある

同じ試験で、焼いた肉の硬さを機械で測ると、普通の塩麹と、加熱して酵素を止めた塩麹とで差が出ませんでした。差が出たのは、酵素剤を足して酵素を増やした塩麹だけです。

一方、焼いたときに出ていく汁の量は、塩を含む漬け床(塩麹・酵素を止めた塩麹・塩水)のほうが、塩を含まない漬け床より平均で約6%少なくなりました。酵素を止めた塩麹や塩水でも減ったので、しっとり焼ける分は塩によるものと読めます。

鶏ささみでは、塩麹に一晩漬けて焼くと、そのまま焼いたものより噛み切る力がおよそ半分になったという報告があります。肉の種類と、製品に残っている酵素の量で、柔らかさの出方は変わります。

肉・魚・野菜で、量と時間はここが違う

肉は、厚みで時間を変える

肉は塩分1%前後を目安に量を出し、時間は厚みで変えます。

下味だけなら薄切り肉を30分、中まで塩を入れるなら厚切り肉・鶏もも1枚を2時間以上です。うま味のアミノ酸を増やしたいときは、厚さを問わず冷蔵で一晩(試験では18時間)漬けます。

出典: 薄切り・厚切りの時間は恵那市の資料、一晩は阿部・秋田(2019)の豚ロースの試験。恵那市の資料は、薄切り・厚切りの厚さ(cm)を示していません。

魚は、短い側から始めて味を見る

白身魚の切り身に塩を振るときは、重さの1〜2%を10〜20分です(浸透圧の科学)。塩麹でも同じ1〜2%を狙うなら、塩分11%の製品で重さの約9〜18%です。

塩麹の目安は30分〜1日程度と幅が広く、塩麹に漬けた魚の塩の入り方や身の硬さを測った資料は見つかりませんでした。身の薄い切り身は短い側から始め、焼いて塩辛ければ次は時間を縮めます。

野菜は、10%だと浅漬けより薄い

野菜を塩もみして浅漬けにするときの塩は、重さの2〜3%です。塩麹を10%使うと塩は約1.1%で、浅漬けの半分ほどしか入りません。

  • 和え物の下味にするなら、10%で足ります
  • 浅漬けにするなら、20%前後(塩分約2.2%)に増やします

時間は、塩もみと同じ30分〜1時間を目安にしています。塩麹で漬けた野菜の時間を測った資料は見つからなかったので、ここは塩もみからの参照値です。

長く漬けても、柔らかさは増えるとは限らない

時間を延ばせば延ばすほど良くなるわけではありません。ここまでの目安が当てはまらない場合は3つです。

  • 鶏肉は報告が分かれています。同じ塩分の塩と塩麹に30分漬けると塩麹のほうが柔らかく、それより長いと硬くなった報告と、ささみを一晩漬けて柔らかくなった報告があります。理由は資料から読み取れませんでした
  • 1日を超えて漬けたときの変化を測った資料は見つかりませんでした。目安の上限は1日です。厚切り肉に2時間以上を勧めるのは塩を中まで届かせるためで、柔らかさの保証ではありません
  • 酵素が残っていない塩麹(市販14製品中5製品で検出されませんでした)では、酵素の分の柔らかさは出ず、下味と塩によるしっとり感だけが残ります

酵素が残っている塩麹の選び方は、麹調味料の使い方まとめの「市販の塩麹には、酵素が残っていないものがある」の節にあります。

うまくいかせる条件

条件外すとどうなるか
量は袋の食塩相当量から計算する塩分の高い製品では塩辛くなる
漬けるのは冷蔵庫室温では酵素は速く働くが、肉が傷みやすい
厚切り肉・鶏もも1枚は2時間以上漬け、焼いたあとに断面を切って中心の味を見る中まで塩が届かず、中心の味が薄い
野菜を浅漬けにするなら20%前後10%では塩が浅漬けの半分ほどしか入らない
漬けた食材に塩や醤油を足さない計算した塩分を超えて塩辛くなる

よくある失敗と対策

味が濃い・塩辛い部分的
なぜ
塩分13%前後の塩麹を食材の重さの10%使うと、食材に入る塩が1.3%を超えます。漬けたうえに醤油や塩で味をつけると、さらに増えます
どうする
塩を含まない野菜や汁と合わせて、皿の上で薄めます
次から
袋の食塩相当量から量を計算し直し、塩麹で漬けた食材には塩を足しません
味が染み込まない部分的
なぜ
厚切り肉を薄切り肉と同じ30分で焼きました。塩は表面から中へ時間をかけて入るので、中まで届いていません
どうする
切り分けてから、断面に塩を軽く振って食べます
次から
厚切り肉や鶏もも1枚は、冷蔵で2時間以上漬けます
肉が固くなった諦める
なぜ
塩麹の酵素が少なかったか、冷蔵では柔らかくなるほど進みませんでした。鶏肉は長く漬けると硬くなった報告もあります
どうする
焼いた後は戻せません。薄く切って、たれやソースと合わせて食べます
次から
冷蔵で売られている塩麹か自家製を使い、漬けるのは1日までにします
味が薄い・ぼやけた回復できる
なぜ
野菜に重さの10%しか使っていません。塩は約1.1%で、塩もみの浅漬け(2〜3%)より薄くなります
どうする
食べる直前に塩か醤油を少し足します
次から
浅漬けにするなら、野菜の重さの20%前後を使います

量は塩分で、時間は厚みで変える

  • 塩麹の量は「食材の重さ×入れたい塩分÷塩麹の塩分」で出します。10%は、塩分11%前後の製品で肉に約1.1%の塩が入る数字です
  • 時間は厚みで変えます。冷蔵で薄切り肉30分程度、厚切り肉2時間〜1日程度です。一晩漬けるとうま味のアミノ酸が2倍以上になります
  • しっとり感は塩が作り、柔らかさは製品と肉しだいです。長く漬けるほど柔らかくなるわけではありません