フランス料理の土台|フォンは前の日に、ワインは焼いた鍋に、バターは最後に

フランス料理の土台|フォンは前の日に、ワインは焼いた鍋に、バターは最後に

この記事でわかること

フランス料理の焼き以外の土台
仕込み(フォン・グラス)・ワイン・バターとクリームの3つ
それぞれを鍋に入れる時
フォンは前の日まで、ワインは焼いた鍋か煮込む前、バターは火から下ろした最後
焼きとのつながり
焼き汁をワインかフォンで溶かして4〜5分煮詰め、火から下ろしてバター
日本・中国料理との違い
土台を分けて持ち、脂を16〜28g足し、酒を肉1kgに300ml入れる

鶏のソテーのレシピの最後に「脂を捨て、白ワインを注いで鍋底をこそげ、フォンを加えて煮詰める。火を止めてバターを溶かす」とあります。焼き終えたあとの数行に、ワインとフォンとバターが続けて出てきます。

3つは、フランス料理が焼き以外に頼ってきた土台です。フォンは前の日までに仕込み、ワインは焼いた鍋か煮込む前の肉に、バターとクリームは皿の最後のほうに入れます。鍋に入る時が、3つで違います。

ここでは、フランス料理の焼き以外の土台3つが鍋に入る時と、焼いた鍋の上でどうつながるか、産地・名前・ソースとの対応、日本・中国料理との違いをまとめます。

焼き方そのもの(ソテー・ポワレなど11語)はフランス料理の焼き技法に、技法の名前が指す鍋の温度(ソテーなら油を130〜190℃)はフランス料理の火加減にあります。

焼き以外の土台は、仕込み・ワイン・バターとクリームの3つ

3つを、鍋に入る順に並べました。

土台鍋に入る時受け持つもの目安の一例
仕込み前の日までソースと煮込みの液体(フォン)、うま味を詰めたグラス、とろみの茶色いルー鶏ガラと手羽1kgに水1.2Lで3時間煮て、フォン1L
ワイン煮込む肉を漬けるとき、焼いた鍋を溶かすとき水やフォンの代わりに肉を煮る液体。煮詰めて酸と色を残す煮込む肉は1kgに300mlで5〜6時間マリネ
バターとクリームクリームはソースを煮詰める途中、バターは火から下ろした最後つやととろみと乳の香りソース1Lにバター80〜140g、45〜55℃で溶かす

出典: 数値は各記事の値。拠り所はエスコフィエ『Le Guide Culinaire』(参考文献)。

フォンは、それが無ければソースも煮込みも始められない土台です。白いフォンは3時間、茶色いフォンは12時間以上かかるので、当日には作りません。

ワインとバターは、当日の鍋に入ります。ワインは肉を漬けるときと焼いた直後に、バターはソースができた最後に入ります。

焼いた鍋から、ワイン・フォン・バターの順に足す

3つは、焼いた肉や魚の鍋の上で1つの順につながります。冒頭のレシピの数行が、その順です。

焼いた鍋の焼き汁は、ワインかフォンで溶かす

肉を焼いて取り出し、脂を捨てたら、ワインかフォンを鍋底が隠れるまで注いで沸かし、鍋底に固まった焼き汁を溶かします。これをデグラッセと呼び、原典では、すべてのソテーに欠かせない工程とされています。

肉に対して鍋が大きすぎると、肉に覆われない鍋底が焦げて、デグラッセができなくなります。焼くときから、肉がちょうど収まる鍋を選びます(フランス料理のワインの使い方)。

フォンの代わりに、仕込んだグラスを水で溶いて使う

グラスは、フォンを10分の1以下に煮詰めたものです。グラス1個(15ml)に水135mlを足すとフォン150ml分に戻り、これで焼き汁を溶かして4〜5分煮詰めると、焼いた肉のソースになります。

フォンを当日に取ると3時間かかるので、仕込みがあるかどうかで当日の時間は3時間変わります(フランス料理の仕込み)。

火から下ろして、バターを5gずつ溶かす

煮詰めたソースを火から下ろし、冷たいバターを5gずつ溶かします。家庭のパンソース200mlなら、まず16〜20gで始めます。

溶かすのはソースが45〜55℃のあいだで、60℃を超えると脂が分かれて浮きます。バターを入れたら、もう煮立てません(フランス料理のバターとクリーム)。

煮込みは、ワインを煮詰めてから仕込んだフォンで煮る

煮込む肉は、焼いて鍋に戻したら、マリネのワインを注ぎ、シロップ状まで煮詰めます。そこへ茶色いフォンを肉が隠れるまで注いで煮ます。

先に煮詰めると、アルコールと生のワインの匂いが湯気と一緒に抜け、酸と色だけがフォンに入ります。煮詰めずにフォンと一緒に蓋をすると、匂いは煮汁に残ります(フランス料理のワインの使い方)。

火にかけて減らす分と、火から下ろして足す分がある

ワイン・クリーム・バターは、どれも、火にかけて減らすか色づける使い方と、火から下ろして足す使い方の両方を持っています。

土台火にかけて減らす・色づける分火から下ろして足す分
ワインソースのワインは半量から4分の1まで、煮込む前はシロップ状まで煮詰める香りを足すワインを、ソース1Lに50〜100ml
クリームソース1Lに200〜250mlを、量が3分の2になるまで煮詰める生のクリームを、ソース1Lに100〜150ml
バターブール・ノワゼット(焦がしバター)は別の鍋で140〜150℃までモンテ(仕上げのバター)は、ソース1Lに80〜140gを45〜55℃で

出典: フランス料理のワインの使い方とフランス料理のバターとクリームの表。

火から下ろして足すのは、香りを残したい分です。沸騰はワインの香りを飛ばすので、原典では、ソースの最後のワインは火から下ろして入れます。バターを入れたスープも、風味が変わるので二度と煮立てません。

発酵バターの香りの成分ジアセチルは沸点が約88℃で、煮立てると湯気と一緒に抜けます(フランス料理のバターとクリーム)。

産地・名前・ソースは、3つの土台でこうつながる

フランス料理の考え方の3つ(産地の名で選ぶ・名前と手順でそろえる・ソースで仕上げる)は、焼き以外ではこの3つの土台で料理になります。

大事にすること土台つながるところ
ソースで仕上げる仕込みソースの味はフォンから来る。1種類だけ仕込むなら鶏のフォン
ソースで仕上げるワインボルドレーズは赤ワイン300mlを75mlまで煮詰める
名前と手順でそろえるワインア・ラ・ブルギニョンは赤ワインで煮る。白ワインで煮たらその名では呼べない
名前と手順でそろえる仕込み仕込みがそろうと、60人の厨房が400〜500人分を1時間から1時間半で出せる
産地の名で選ぶバターとクリームAOP(原産地呼称保護)のバターはモンテだけに使い、焦がしは普通のバター
産地の名で選ぶワイン地方の煮込みは、その土地のワインで煮る(ブルゴーニュは赤)

出典: ソースの役割と、土台の3記事の本文。

ソースは、3つの土台を全部使う皿の仕上げです。フォンが味の元になり、ワインが酸と色を足し、バターがつやととろみを足します。

日本・中国料理との違いは、先に持つもの・足す脂・酒の量

どの料理体系も、うま味の液体と酒と、仕上げの一手を持っています。違うのは、何を先に作って持ち、仕上げにどれだけ脂を足し、酒をどれだけ入れるかです。

比べるものフランス料理日本料理中国料理
先に作って持つものフォン、グラス、ルー、デュクセル(きのこのみじん切りを炒めたもの)を別々に長くは持たない。だしを使う日に引く毛湯(マオタン)を弱火で約3時間炊いて持つ
仕上げに足す脂(2人分の1皿)バターかクリームを16〜28g足さない(0g)明油(ミンヨウ)を4〜10g
煮汁や炒め物に入れる酒煮込む肉1kgにワイン300ml濃口八方は、だし500mlに酒50ml・みりん50ml料酒(りょうしゅ)を、肉1kgなら75〜150ml

出典: フランス料理の仕込み・フランス料理のバターとクリーム・フランス料理のワインの使い方の比較の節。

フランス料理は、とろみのルー、うま味を詰めたグラス、香りのデュクセルを別々に作っておき、当日に組み合わせます。仕上げのバターはソースの味の一部になり、ワインは煮汁の主体になります。

日本料理の側は日本料理の技法に、体系全体を他の料理と並べた違いはフランス料理の特徴の比較にあります。

フランス料理の土台で押さえる3つ

  • フォンは前の日まで。鶏ガラと手羽1kgから鶏のフォン1Lを取り、煮詰めてグラスにしておけば、当日のソースは4〜5分で組めます
  • ワインは焼いた鍋か煮込む前。焼き汁を溶かして半量から4分の1まで、煮込みならシロップ状まで煮詰めてからフォンで煮ます
  • バターとクリームは最後のほう。クリームは量が3分の2になるまで煮詰め、バターは火から下ろして45〜55℃で溶かし、入れたら煮立てません

フランス料理スキルマップは、フォンとソースを切り方の次の段(レベル2)に、煮込みと同じ段で置いています。食卓でワインを軽いものから合わせる順はフランス料理のコースの順番にあります。