中国醤油の選び方|生抽・老抽の揃え方とブランド比較・ラベルの読み方

中華料理

中国醤油を買おうとすると、「生抽」「老抽」「老抽王」「蒸魚醤油」「草菇老抽」「味極鮮」と種類が多く、何から揃えればよいか迷います。しかし、選び方の軸は3つだけです。

  1. まず何を揃えるか(本数と種類を決める)
  2. 品質を見分ける(ラベルのアミノ酸態窒素・醸造方式・原材料を確認する)
  3. 用途に合わせて選ぶ(料理ごとに最適な醤油を使い分ける)

この3ステップで考えれば、自分に合った中国醤油が迷わず選べます。中国醤油の全体像については中国醤油の分類体系をご覧ください。

目次

Step 1: まず何を揃えるか

最初の2本:生抽と老抽

日本の醤油が濃口醤油1本であらゆる料理をカバーするのに対し、中国醤油は味付け用の生抽色付け用の老抽 の2本を揃えるところから始まります。この2本があれば、炒め物・煮込み・炒飯など基本的な中華料理の醤油使いが可能になります。

項目生抽(シェンチョウ)老抽(ラオチョウ)
主な役割味付け(旨味・塩味)色付け(照り・色艶)
使う場面炒め物の味付け、和え物、つけダレ紅焼(煮込み)、炒飯の色、照り出し
薄い赤褐色濃い黒褐色
質感サラサラとろみあり
おすすめ初購入李錦記 生抽(500mL)李錦記 老抽王(500mL)
初購入の価格目安400〜600円400〜600円

料理の幅に応じて追加

中華料理をどこまで本格的に作るかによって、揃える本数を段階的に増やします。

レベル本数揃える醤油できるようになる料理
Level 1(基本)2本生抽 + 老抽炒め物、煮込み、炒飯、基本の中華全般
Level 2(充実)3本+ 蒸魚醤油清蒸魚、蒸し料理全般、広東式の仕上げ
Level 3(本格)5本+ 草菇老抽 + 頭抽高級煮込み、刺身・冷菜、プロレベルの使い分け

多くの家庭にはLevel 1の2本で十分です。蒸し魚が好きな方はLevel 2に進み、中華料理を深く楽しみたい方はLevel 3まで揃えると、味の幅が一気に広がります。

日本の醤油で代用する場合

すべて中国醤油を揃えなくても、手持ちの日本醤油で部分的に代用できます。

代用パターン可否調整方法
生抽 → 濃口醤油可能濃口醤油はやや色が濃いため量を控えめに。塩分はほぼ同等
老抽 → 日本醤油困難カラメルの風味・着色力は日本醤油で再現できない
老抽 → たまり醤油+砂糖部分的たまり大さじ1+砂糖小さじ1/2で色と甘みは近づくが、カラメル風味は異なる
蒸魚醤油 → 濃口醤油+みりん部分的風味は近づくが、蒸魚醤油の繊細さには及ばない

中華料理をたまに作る程度であれば、生抽1本だけの購入でも十分実用的です。濃口醤油を生抽代わりに使い、どうしても色が欲しいときだけ老抽を少量加えるという使い方もできます。

Step 2: 品質を見分ける

中国醤油のラベルには品質を判断するための情報が記載されています。チェックすべきポイントは4つです。

ラベルの読み方

アミノ酸態窒素(最重要指標)

中国醤油の品質を最も端的に示す数値がアミノ酸態窒素(氨基酸态氮) です。この数値は大豆のタンパク質がどれだけアミノ酸に分解されたかを表し、数値が高いほど旨味が豊かです。中国の国家規格GB/T 18186で等級の基準として定められています。

等級アミノ酸態窒素(g/100mL)品質目安推奨用途
特級0.80以上最高品質調理全般に推奨。卓上使いにも
一級0.70以上高品質日常の炒め物・煮込みに十分
二級0.55以上標準品大量調理・業務用
三級0.40以上普及品おすすめしない

日常使いには特級(0.80以上)を推奨します。 大手ブランドの特級品でも500mLで400〜600円程度と、価格差は小さいためです。

詳しくは中国醤油の等級をご覧ください。

醸造方式

中国醤油の醸造方式は大きく2種類あり、風味に大きな差があります。ラベルの「产品标准号」や製法表示欄で確認できます。

項目高塩液態発酵(高盐稀态)低塩固態発酵(低盐固态)
発酵期間4〜6ヶ月15〜30日
温度常温〜30°C40〜50°C(加温促進)
風味複雑で奥深いすっきりシンプル
シェア約10%約90%
価格やや高い安い

原材料

ラベルの原材料欄(配料表)をチェックします。シンプルな原材料の醤油ほど、発酵の力だけで旨味を引き出しています。

判断原材料の例解説
良い大豆(黄豆)、小麦(小麦粉)、食塩(食用盐)、水添加物なし。発酵由来の旨味
許容脱脂加工大豆(脱脂大豆)、小麦、食塩、水コストは低いが品質は十分
注意上記+グルタミン酸ナトリウム(谷氨酸钠)、カラメル色素、安息香酸ナトリウム添加物で旨味・色・保存性を補っている

生抽の場合:添加物は少ないほど良いです。老抽の場合:カラメル(焦糖色)の添加は製法上正常です。ただしMSG(谷氨酸钠)が大量に含まれる製品は、醤油本来の風味が薄い可能性があります。

「王」の表示

ラベルに「生抽王」「老抽王」と記載された製品があります。「王」はプレミアム品を示すマーケティング表示で、GB/T 18186の公式等級ではありません。ただし大手メーカーでは、アミノ酸態窒素が1.0〜1.2 g/100mL以上の製品に「王」を付ける傾向があり、一定の品質の目安にはなります。

詳しくは中国醤油の等級をご覧ください。

Step 3: 用途に合わせて選ぶ

料理ごとに最適な醤油は異なります。以下の表を参考に、用途に合った醤油を選んでください。

用途推奨する醤油理由
日常の炒め物生抽(特級)すっきりした旨味で食材の味を活かす
紅焼(煮込み料理)老抽 or 草菇老抽深い色と照り。草菇はキノコの旨味が加わる
蒸し魚・海鮮蒸魚醤油繊細な魚の風味を引き立てる専用調合
つけダレ・刺身頭抽透明度が高く、香り高い最高級品
手軽に旨味を足す味極鮮MSG配合で簡単に旨味を増強
炒飯の色付け老抽少量で均一な色が付く
照り焼き風の仕上げ老抽とろみのある質感が美しい照りを出す

ブランド比較

中国醤油の3大ブランドを比較します。いずれも広東省を拠点とし、品質面で信頼できるメーカーです。

李錦記(Lee Kum Kee)

1888年創業、香港を拠点とする世界的な中華調味料メーカーです。日本を含む100カ国以上で販売されており、中国醤油の中で最も入手しやすいブランドです。品質が安定しており、ラインナップも幅広いため、初心者に最もおすすめです。

  • 創業: 1888年(香港)
  • 特徴: 国際基準の品質管理、幅広いラインナップ
  • 味の傾向: バランスが良く、クセが少ない。万人向け
  • 主要製品: 生抽、老抽王、蒸魚豉油、味極鮮
  • 日本での入手: Amazon・楽天で充実。中華食材店にも常備

海天(Haitian)

中国最大の醤油メーカーです。醤油単体の売上は137.58億元(2024年、約2,800億円)に達し、28年連続で中国の醤油販売量トップを維持しています。広東省仏山市を拠点とし、清朝時代の25の醤油蔵を統合して生まれた歴史あるブランドです。

  • 創業: 清朝時代の醤園25社を統合(仏山市)
  • 特徴: 中国市場シェアNo.1、コストパフォーマンスに優れる
  • 味の傾向: やや甘みが強く、旨味がしっかり。家庭料理向き
  • 主要製品: 味極鮮、金標生抽、草菇老抽
  • 日本での入手: 中華食材店で入手可能。ネット通販は李錦記より少ない

珠江橋(Pearl River Bridge)

広州を拠点とし、150カ国以上に輸出する中国醤油の輸出パイオニアです。伝統的な広東式醤油の味わいを守り続けており、バランスの良い風味が特徴です。日本では業務スーパーで見かけることが多いブランドです。

  • 創業: 広州
  • 特徴: 輸出のパイオニア、伝統的な広東式の味
  • 味の傾向: 海天よりも甘さが控えめで、バランスが良い
  • 主要製品: 金標生抽、老抽王
  • 日本での入手: 業務スーパー、中華食材店で比較的入手しやすい

比較表

項目李錦記(Lee Kum Kee)海天(Haitian)珠江橋(Pearl River Bridge)
特徴国際標準の品質管理中国シェアNo.1輸出パイオニア
味の傾向バランス良く万人向けやや甘め、旨味強め甘さ控えめ、端正
価格帯(500mL)400〜700円300〜500円300〜500円
日本での入手しやすさ高い中程度中程度
おすすめ用途初心者、幅広い中華料理本格中華、コスパ重視バランスの良い味を求める方
代表製品生抽、老抽王、蒸魚豉油味極鮮、金標生抽、草菇老抽金標生抽、老抽王

日本での入手方法

中国醤油は日本でも複数のルートで購入できます。

入手先品揃え特徴
中華食材店(横浜中華街、池袋チャイナタウンなど)非常に豊富3ブランドとも揃う。珍しい製品も見つかる
業務スーパー限定的珠江橋が入手しやすい。価格が安い
Amazon・楽天やや豊富李錦記が最も充実。送料に注意
輸入食品店(カルディなど)限定的李錦記の一部製品のみ。生抽は置いていないことが多い

おすすめの購入方法:初めて購入するなら、Amazonで李錦記の生抽と老抽王を購入するのが最も手軽です。近くに中華食材店がある場合は、実際にラベルを確認しながら選べるため、品質のチェックがしやすくなります。

日本醤油の選び方との比較

中国醤油と日本醤油の選び方には、根本的な発想の違いがあります。

観点日本醤油の選び方中国醤油の選び方
基本の考え方万能な1本を選ぶ2本セット(生抽+老抽)を揃える
最初に揃える本数1〜2本2本(最低限)
品質指標等級(窒素分)、本醸造かどうかアミノ酸態窒素、醸造方式
品質の最低ライン本醸造・上級以上特級(0.80以上)・高塩液態
用途別の追加淡口、再仕込み、溜蒸魚醤油、草菇老抽、頭抽
重視するポイント原材料のシンプルさアミノ酸態窒素の数値

日本醤油は濃口醤油1本で味も色も担う「万能型」のため、その1本の品質にこだわります。中国醤油は役割を分担するため、まず2本の組み合わせを揃え、そこから用途に応じて追加していく「セット型」の思考です。

詳しくは日本の醤油の選び方をご覧ください。

初心者におすすめセット

まずはこの2本(Level 1)

中華料理を始めるなら、以下の2本を最初に揃えてください。

順番製品役割選ぶ理由価格目安
1李錦記 生抽(500mL)味付け入手しやすく品質が安定。特級相当400〜600円
2李錦記 老抽王(500mL)色付け「王」グレードで照りが美しい400〜600円

合計の初期投資は約800〜1,200円です。この2本があれば、炒め物・煮込み・炒飯など基本的な中華料理の醤油使いはすべてカバーできます。

本格派の5本(Level 3)

中華料理を本格的に楽しみたい方は、以下の5本を揃えると料理の幅が大きく広がります。

順番製品役割選ぶ理由
1海天 金標生抽 or 頭抽調味海天の特級品はコスパに優れる。頭抽は最高級の風味
2海天 草菇老抽着色+旨味キノコ由来のグアニル酸で煮込みに深みが出る
3李錦記 蒸魚豉油蒸し魚清蒸魚には専用の蒸魚醤油が不可欠
4海天 味極鮮時短旨味忙しい日の炒め物に。旨味を手軽に増強
5珠江橋 老抽王予備・比較用海天との味の違いを比較して好みを見つける

5本すべてを揃えても3,000〜4,000円程度です。すべて同時に揃える必要はなく、Level 1の2本から始めて、料理の幅に応じて1本ずつ追加していくのがおすすめです。

まとめ

中国醤油の選び方は、以下の3ステップで考えるとシンプルです。

  1. まず2本揃える生抽(味付け)+ 老抽(色付け)が基本セット。料理の幅に応じて蒸魚醤油・草菇老抽・頭抽を追加
  2. 品質はアミノ酸態窒素で判断 → 特級(0.80以上)を基本に、醸造方式は高塩液態発酵が高品質。原材料がシンプルなものを選ぶ
  3. 用途で使い分ける → 炒め物は生抽、煮込みは老抽・草菇老抽、蒸し魚は蒸魚醤油、つけダレは頭抽

迷ったら李錦記の生抽と老抽王の2本から始めてください。日本のAmazonや中華食材店で手軽に入手でき、品質も安定しています。

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中国醤油シリーズ

記事内容
中国醤油の分類体系生抽・老抽の2大分類と全体像
中国醤油の等級アミノ酸態窒素とGB/T 18186の等級体系
生抽(シェンチョウ)調味用醤油の成分・使い方
老抽(ラオチョウ)着色用醤油の成分・使い方
頭抽(トウチョウ)最高級品の特徴と使い方
蒸魚醤油蒸し魚専用醤油の特徴
草菇醤油キノコエキス入り醤油の特徴
味極鮮旨味強化型醤油の位置づけ

日本醤油との比較