日本料理の特徴|旬・引き算・余白と発酵・うま味をフランス・中国と比べる

日本料理の特徴|旬・引き算・余白と発酵・うま味をフランス・中国と比べる

この記事でわかること

日本料理の特徴は何か
旬・引き算・余白と、それを支えるうま味・発酵調味料・切ること・火を抑えること
フランス料理との違いは
引いたあとにバターを足さず、料理ごとに器を替える
中国料理との違いは
発酵の香りを油で引き出さず、だしに溶かして守る
和食の味が薄いときは何を足す
塩を足す前に、うま味を足す
懐石と会席の違いは
茶懐石は飯が最初、会席は料理のあとに飯が最後

日本料理は引き算の料理で、余白を大事にし、調味料が発酵品だ、とよく言われます。けれどフランス料理も下ごしらえで臭みを抜き、白い皿の縁を空けます。中国料理にも、豆を発酵させた醤(ジャン)があります。

では、日本料理だけのものはどこにあるのか。並べてみると、特徴そのものより、その使い方が違います。

この記事では、日本料理の特徴を、フランス料理・中国料理と同じ物差しで並べたときに、どこが違い、どこが逆を向いているかを扱います。

日本料理の特徴は、大事にすること3つと、それを支えるもの4つ

和食の特徴として農林水産省が挙げる4つのうち、「多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重」と「自然の美しさや季節の移ろいの表現」が、日本料理の目指すものです。

このサイトでは、そのために大事にしてきたことを旬・引き算・余白の3つに、それを台所で支えるものをうま味・発酵調味料・切ること・火を抑えることの4つに分けています。7つを、フランス料理・中国料理と同じ物差しで並べます。

特徴比べるものフランス料理中国料理日本料理
旬時期のどこに名前を付けるか出始めの野菜にだけ名前がある時期には名前を付けず、体の状態で選ぶ(薬膳)走り・旬・名残で料理を替える
引き算臭みを抜いたあとに何を足すかバターを足す香味を重ねる地(じ。先に合わせる調味液)と薬味まで
余白どこを空けるか同じ白い大皿の縁大皿は満たし、取り皿で加減する料理ごとに器を替え、その中
うま味土台の液体のあとに何を足すかフォン(骨を煮出した液)にバター毛湯(マオタン。鶏ガラや豚骨の湯)に炒め油だしで煮る料理に脂を足さない
発酵調味料発酵の香りを何に溶かすか基本の調味料は発酵品でない。ワインは煮詰める豆板醤(トウバンジャン)を油で炒める醤油と味噌をだしに溶かす
切ること寸法を何に合わせるか火の通り強火の炒め刺身は身の硬さ
火を抑えること最後に味をどうまとめるかソースで仕上げる強火と合わせ調味料でまとめる沸かさずに煮含め(にふくめ。煮汁を中まで入れる)、味をまとわせない

出典: 和食の特徴は農林水産省。各行は行の頭にリンクした記事の比較の節。火を抑えることの行は、日本料理の割主烹従と日本料理のうま味の比較の節。

旬・引き算・うま味・切ることは、どの体系にもあります。違うのは、それを料理のどこでどう使うかです。余白と発酵調味料は、持ち方そのものが分かれます。中国料理の大皿は空けずに満たし、フランス料理の基本の塩は発酵品ではありません。

大事にすることの違いは、引いたあと・器・時期の名前

引き算は、引いたあとに何も足さないところが違う

フランス料理のブランシールも、中国料理の焯水(チャオシュイ)も、湯で臭みを抜く下ごしらえです。日本の霜降り(しもふり)だけが、抜いたあとに脂や香味で覆いません。

覆わないので、引き足りないと臭みが残り、引きすぎると素材の味ごと薄くなります。どこで止めるかは日本料理の引き算にあります。

余白は、器を料理ごとに替えるから測って残せる

フランス料理は同じ形の皿で縁を空け、中国料理は空きを取り皿の側に残します。日本料理は器そのものを料理ごとに替えるので、1つの器の中にどれだけ空けるかを料理ごとに決められます。

器の何割に盛るかは日本料理の余白にあります。

旬は、時期の終わりにも名前を付ける

フランスの primeurs(プリムール)は、日本の走りに当たります。日本料理はそれに加えて、盛りの旬と終わりの名残にも名前を付け、同じ食材でも時期の脂と水で料理を替えます。

時期で何がどれだけ変わるかは日本料理の旬にあります。

支えるもの4つの違い

うま味は、土台の液体のあとに脂を足さない

フォンも毛湯も一番だしも、液体そのものの脂はほぼ0です。フランス料理はそこにバターを、中国料理は炒め油を足し、日本料理のだしで煮る料理は足しません。

脂と塩がどれだけ変わるかは日本料理のうま味にあります。

発酵調味料は、香りを油でなく水の中で守る

中国料理は豆板醤を油で炒め、香りを油に移してから煮ます。日本料理の醤油と味噌は、油を使わずにだしに溶かします。

発酵の香りは80℃を超えると飛び始め、沸かすと湯気と一緒に逃げます。だから味噌は沸く手前で溶き、醤油の香りは仕上げに足して、水の中に残します。

入れる温度と時期は和食の発酵調味料にあります。

切ることは、寸法を口当たりに合わせる

日本料理には、切ることが主で、火を通すことが従という意味の割主烹従(かっしゅほうじゅう)という言葉があります。

フランス料理と中国料理は、火の通りを揃えるために寸法を決めて切ります。日本料理の刺身は切ったところで料理が終わるので、厚さを魚の身の硬さに合わせます。

魚ごとの厚さは日本料理の割主烹従にあります。

火は抑え、最後に味をまとわせない

フランス料理はソースで、中国料理は強火と合わせ調味料で、最後に味をまとめます。日本料理の煮物は沸かさずに煮含め、ソースをかけないので、包丁で作った形と厚さが器の上まで残ります。

遠火の強火・煮含め・落とし蓋の使い分けは日本料理の火加減にあります。

日本は引いて水の中で守り、フランスは足して覆う

特徴の比較表の7行を、料理体系ごとにまとめると、向きがそろっています。

料理体系引いたあと味と香りを何に溶かすか料理の最後
フランス料理バターとソースで覆うフォンとバターソースで仕上げる
中国料理香味を重ねる油強火と合わせ調味料でまとめる
日本料理地と薬味までだしと煮汁(水)切り口と器をそのまま見せる

出典: 特徴の比較表と同じ。

この向きが分かると、和食の味が足りないときに何を足すかが変わります。脂やソースを足す料理ではないので、塩や醤油を重ねる前に、だしを濃くしてうま味を足します。

汁物なら、うま味を足して醤油を引くと、塩を約3割減らしてもおいしさの評価が変わらなかった試験があります(日本料理のうま味)。

毎日の食事では、ご飯を中心に一汁三菜を同時に並べる

ご飯と一汁三菜は、特徴そのものではなく、ここまでの特徴が毎日の食卓の形になったものです。フランス料理はコースで1皿ずつ出し、中国料理は大皿を取り分けますが、日本の日常の食事は1人分ずつ全部を同時に並べます。

改まった席では1品ずつ出し、茶懐石は飯が最初、会席は料理を出し終えたあとに飯が最後に出ます。塩を品ごとにどう配るか、懐石と会席でご飯の位置が逆になる理由は日本料理の献立にあります。

ほかの料理体系の特徴と、日本料理の中の入口

知りたいこと行き先
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日本料理の特徴で押さえる3つ

  • 日本料理は、旬・引き算・余白を大事にし、うま味・発酵調味料・切ること・火を抑えることで支えます
  • 多くはフランス料理と中国料理にもあり、違いは使い方に出ます
  • 日本料理は引いたあとに脂や香味で覆わず、味と香りを水の中で守り、切り口と器をそのまま見せます

和食の味が足りないときは、塩より先にうま味を足します。